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講演会&シンポジウム「子どもと若者の生きづらさ」 ―不登校・ひきこもり・貧困を考える―

人間塾1

7月15日(土)、山形市の遊学館にて「講演会&シンポジウム
『子どもと若者の生きづらさ』―不登校・ひきこもり・貧困を考える―」と題したイベントが行なわれました。
こちらは、東京で奨学金給付や実践活動の助成を行っている「一般財団法人人間塾(以下、人間塾と略記)」と、山形市内で不登校・ひきこもりの子を持つ親御さんを対象にした居場所づくり活動に取り組んでいる「クローバーの会@やまがた」、そして「ぷらっとほーむ」による共催事業です。
第一部では「こどもは社会の宝、世界の希望」と題した「人間塾」塾長・仲野好重氏による講演会、そして第二部では「私たちはどう生きのびてきたか」という題の元、シンポジムが行われました。
(文責:大原克彰)


■第一部 講演会 「こどもは社会の宝、世界の希望」
仲野好重氏(一般財団法人人間塾・塾長)

人間塾では奨学金給付の事業を行っていて、そこで出会った青年の話をお聴きしました。彼はシングルマザーの家庭で育ったのですが、連日働きづめだった母親は、ある日とうとう心身ともに疲弊し、入院。これにより生活が続けられなくなった――当時はまだ小学生だった――青年は施設に預けられることになったそうです。そこの施設で育ち、やがて中学3年生となった青年はある日、とても面白そうな勉強をしている私立の高校を見つけます。厚生労働省の職員さんから経済的に難しいと言われながら、通わせてくれる里親さんを探してもらったそうです。そして無事に青年は受験に合格。さらに運よく、そのとき一度会いたいという里親さんがみつかり、青年は「この学校で勉強がしたい」という強い思いを話し、感銘を受けた里親さんは「もっと働いて君を学校に通わせる」と言ったそうです。真摯な気持ちであきらめずに行動すると人の心を動かし、助けてもらえると勇気付けられました。

青年はこれまで周囲の大人たちから怒られるときに生い立ちをかわいそうと思われたことがあり、本気で怒られた経験があまりなかったそうです。しかし、私立の高校に通わせてくれたその里親さんは、青年のことを怒るときは本気で、さらに自分たちがどうして怒っているかきちんと理由を添えて説明もしてくれたそうです。仲野さんはこの「理由(過程)」が非常に大切だといいます。「結果重視の世の中ですが、結果にいたるまでには必ず過程があります。例えばルールを破った場合、破ったという結果はひとつですが、守れなかった理由は100人いれば100通りあるわけです。物事の結果ばかり見るのではなく、なぜそうしたのか過程を大切にしなくてはいけないと思います」という仲野さんの言葉を日常で、もっと意識したいと思いました。

その後、青年は大学に進学。3年生の時に人間塾と出会いました。そして塾長の仲野さんは青年の母親と会う機会があり、彼女は「息子の身体が元気で、毎日目の前にあることにコツコツ向き合いながら、一生を終えるときに良い人生だった思えるような生き方をしてくれれば」と望んでいたそうです。加えて、「目立たないところで生きるのもよし、人の役に立つぞ、と世間に出て行くのもすばらしい、どんな形でもよくてその人に見合った生きかたを見つけてほしい」という言葉は励みになりました。仲野さんからも「親が良いと思った道のみに進ませるのは自分のこどもを所有物とみなし、ペットと接していることと同じだと思います。こどもにも良いと思った道があり、それが生きた個性になります」というお話は心に留めたいと思いました。 

人間塾2

青年は母を求めながら過去の出来事を許しておらず、どう接したらよいかわからなかったそうですが、仲野さんとの面談を経て、それから少しずつ実家に帰るようになり、関係が良好になったとのこと。見捨ててもいないし、見捨てられてもいない。『旧約聖書』のコヘレドの書から「すべてには時がある」という一節を教えていただきました。進むばかりが人生でない、下がるときもある。ひとりひとりにふさわしい時があるそうです。仲野さんのお話から、いろいろな角度から考えて、深みのある生きかたをしたいと思いました。
(文責:大場みのぶ)

■第二部 シンポジウム
「私たちはどう生きのびてきたか」

シンポジウムは、コーディネーターに樋口愛子さん(クローバーの会@やまがた 世話人)、パネリストに鈴木晴菜さん(経験者)、筆者・大原克彰(経験者)、松井愛さん(支援者)、滝口克典さん(支援者)、そしてコメンテーターに中野好重さんをお迎えして行なわれました。

 シンポジウムでは、筆者と鈴木さん、経験者二人が、これまでにどんな不登校・ひきこもり経験をしてきたのか、また、その状況から抜け出したきっかけは何だったのか、そしてどのような経緯で「ぷらっとほーむ」に繋がったか、などの話がありました。
 筆者自身は、今から6年前ほど前にひきこもりを経験。筆者は当時大学生だったのですが、対人関係などがうまくいかず、だんだん大学に行きづらくなり、やがて不登校に。それ以来、自宅に2年ほどひきこもるようになってしまいました。しかし「このままではまずい」という思いから、大学とはあまり関係のない、自分の素性を知られないような外部でボランティア活動などに取り組むようになりました。そこで同時にNPOやボランティア団体に関する情報も仕入れ、そのとき初めて「ぷらっとほーむ」の存在も知ります。どんな団体か気になり、電話を掛けてみた事がきっかけで「ぷらっとほーむ」につながったのでした。

 鈴木さんは、高校時代に不登校を経験。小さい頃からバレーボールが大好きで小中学校とバレーをしていましたが、なぜか学業優先の高校に入学した結果、あまりバレーができなくなってしまったそう。楽しみがなくなり、だんだん自分の中でエネルギーがなくなっていった結果、高校2年あたりから自宅にひきこもるようになってしまったとのことでした。そんな中、鈴木さんはとあるテレビドラマで「フリースクール」の存在を知り、家庭教師の先生に「山形にもフリースクールのような場所はありますか?」と聞いたところ「ぷらっとほーむ」を紹介してくれたのだそうです。

「ぷらっとほーむ」につながって、筆者自身はそこに集う多様な人々と出会い、彼(女)らの生き方に触れることができたのは非常に大きな学びになりましたし、鈴木さんの場合は、ワークショップに参加するなど、「ぷらっとほーむ」の日常と並行して行なわれるイベントなどを通して、落ち込んでいた状態から、もう一度元気を取り戻せたとおしゃっていました。また、鈴木さんは結婚・出産で一時期「ぷらっとほーむ」を離れるものの、再び繋がりなおした際「家事や育児で毎日が忙しく、自分を見失いそうになってしまう時もあったのですが『ぷらっとほーむ』に来ることで、改めて自分自身のことを見つめ直すような時間を持つことができました」ということでした。

 こうした筆者や鈴木さんの話を受け、松井さんは「わたしが『ぷらっとほーむ』で子ども・若者たちと関わるときに大事にしていることは、色んな人と会ったりとかいろんな経験をしたり、いわゆる『分母』を増やす作業をサポートしていくことです。ここでいう『分母』は人と会った数や経験を指していますが、1/1では何をいっても説得力がない。でも、すごく色んな経験を積み重ねた人が言う1には説得力があるし、そこには『揺るがなさ』があると思います。そうした『その人なりの揺るがなさ』を得られるには、人とたくさん会う、多様な経験を積むことが不可欠だと思います。その部分を『ぷらっとほーむ』の活動で提供できれば」とおっしゃっていました。
 
人間塾3

滝口さんからは「良い学校に行って、良い会社に入って、結婚して…という一般的な生き方のイメージみたいなものがあるかと思いますが、実際には色んな生き方をしている人たちがいます。わたしも日々、現場でそういった人に会う度に色々気づかされますし、そういった気づきのプロセスが『生きていく』ということなのかなと思います」とお話していただきました。

そして最後に仲野さんから「『ぷらっとほーむ』さんのお話を伺って、人生はひとつのレールだけじゃないなと思いました。色んなレールを敷いていい。みんな同じ目的地に行くわけでもないし、経由地も一緒じゃないのだから。各駅停車の人、特急の人、それぞれに自分なりの人生の景色を楽しめばいいんじゃないか、改めてそう思いました」との感想をいただきました。

 子ども・若者の生きづらさについてさまざまな立場からの語りがあり、非常に学びの多い講演会とシンポジウムになったと思います。
(文責:大原克彰)
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プロフィール

ぷらっとほーむ 「まどあかり」編集部

Author:ぷらっとほーむ 「まどあかり」編集部
山形市にある「NPOぷらっとほーむ」の〈若者の居場所づくり活動支援事業〉のブログです。
山形県内各地で活動している若者団体や個人のインタビュー、イベント情報や参加レポートなどを随時更新していきます。

2016年度の本事業は、〈一般財団法人 人間塾〉の助成を受けて取組んでいるものです。
〈一般財団法人 人間塾〉

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