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特定非営利活動法人 With優 設立10周年記念意見交換会


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フリースクールWith優 卒業生によるシンポジウム


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8月19日(土)、米沢市の伝国の杜にて開催された「フリースクールWith優 卒業生によるシンポジウム」に参加してきました。これは、同市内でフリースクール運営を中心に子ども・若者の居場所づくり活動に取り組んでいる「NPO法人With優」が企画したシンポジウムです。会は大きく分けて二部構成になっており、第一部はフリースクール卒業生によるシンポジウム、第二部はシンポジストとのフリートーク及び質疑応答。かつてフリースクールに在籍していた若者たち――Yさん、Sさん、Oさん、Kさん――がシンポジストとして登壇し、フリースクールに通っていた当時のことや、そこを卒業してから現在に至るまでのお話をしていただきました。

まず第一部のシンポジウムでは、シンポシストたちがフリースクールに繋がった経緯や、そこで学んだこと・感じたことなどをそれぞれお話しされました。Yさん、Sさんはほぼ同じ時期にフリースクールに在学していたそうですが、基本的に四名とも入学・卒業年度はバラバラ。それでも、四名ともお話の中で共通していたことは「フリースクールに繋がり、勉強だけでなく、普通の学校では経験できないような経験をたくさん積むことができて良かった」ということでした。

例えば、今から約7年前にフリースクールを卒業したYさんの場合、当時は進学校に進むも、勉強漬けの毎日に意味が見出せなくなり、やがて学校そのものに足が向かなくなってしまったそうです。そんな中、親御さんの薦めでフリースクールに入学。約2年間在学し、そこで経験した、米沢から新潟までの自転車旅行がとても心に残っている、とのことでした。「今でも自転車旅行で走った道を通ると、そのときの楽しかった思い出が甦ってきます」とYさんは和やかにそうおっしゃっていました。また、約5年前にフリースクールを卒業したというOさん。Oさんは高校時代、勉強による疲れや体調不良などが重なった結果自宅に引きこもるようになってしまい、親御さんを介してフリースクールに繋がったそうです。そこからおよそ1年半在学したそうですが、みんなで一緒にお昼ご飯を作ったり、山菜を取りに行ったり、日常のイベント事がとても楽しかったとOさんは語ります。Oさん曰く「フリースクールでは自分のペースで過ごせるのが良かったです」とのことでした。

シンポジストの皆さんのお話を伺い、イベントなどを行い「日常に変化を取り入れること」や「参加者一人ひとりが自分のペースで過ごせること」が居場所において大事な要素なのだな、ということを筆者(大原)自身、改めて実感することができました。
そして第二部は質疑応答・フリートークということで、会場から寄せられた質問にシンポジストがそれぞれ答えたり、彼(女)らと「With優」代表の白石さんらスタッフがざっくばらんにフリースクールに関連する話をしたりしました。

質疑応答では会場から質問が多数寄せられ、例えばその中に「(シンポジスト全員に対し)自宅にひきこもっている時はどんなことをして過ごしていましたか」という質問がありました。これに対しSさんは「ゲームをしたり音楽を聴いたりしていました」、Kさんは「朝までDVDを見ていました」などの回答がありました。シンポジストさんたちは皆、ひきこもっている時は基本的に部屋でテレビやゲーム、ネットをしていることが多かったといいますが、Yさん、Kさん、Oさんは「そんな状態でもあまり家族から(もちろん心配はしてたろうけど)とやかく言われなかったのがありがたかった」とおっしゃっていました。一方で、ひきこもった当時、家族に心配され過ぎてしまい、それが逆に自分にとっては負担だったとSさんはいいます。「自分でも今の状況は分かっているので、学校に行ってないことについてあまり言われたくなかったです」というSさんの言葉が印象的でした。

このような質問がある一方、「With優でおいしかったご飯は何ですか?」といった楽しげな内容の質問なども寄せられており、話の最中、時々笑いも巻き起こるなど会場はとても朗らかな雰囲気だったように思います。そして何より「ただ単に学校に行っているだけでは決して得られなかったであろう様々な経験をフリースクール=居場所で得られた」というシンポジストさんたちの語りに、不登校は必ずしもマイナスとは限らないという非常に前向きなメッセージをもらうことができました。

命を守る ~堀 仁美 (NPO法人With優 若者支援専門員)~

うぃずゆう
With優の活動風景

東日本を襲った未曾有の震災から、早くも5年が過ぎました。今年も東北を中心に様々な追悼のイベントが催され、たくさんの人が震災で失われた尊い命を悼みました。一方で、世間では子ども・若者たちが自ら死を選んでしまったという悲しい報道が後を絶ちません。大きな悲しみをこえ、私たちはどうやって生きていけばよいのか、考える時期に来ているのかもしれません。

震災から間もなく1年が経とうかという冬の日、私の大切な従弟が中学2年という若さで自らこの世を去りました。運動が得意ではなかったけれど、父親と同じ部活動で一生懸命がんばっていた彼。お菓子やパンづくりが得意で、とても優しい心をもった男の子でした。最初はうけいれることができず、冷たくなった彼の身体に触れることもできませんでしたし、何故? どうして? という思いでいっぱいでした。学校の先生から、彼がいじめられていたかもしれないこと、時おり保健室に行き「死にたい」と漏らしていたことを聞いたのは、その数日後でした。

自ら死を選ぶ子どもたち。大人は「どうして相談してくれなかったのか。つらいのは今だけだっただろうに。もう少し我慢してくれていれば」と思ってしまいがちです。でも、本当にそうでしょうか。その瞬間を想像してみたことはありますか。どんなに怖く、勇気のいる選択だったでしょうか。家族や周りの大人たちにも心配をかけまいと、たったひとりでどれだけ長く苦しんできたのか。その苦しみから逃れる方法として、「死」を選ぶことしかできない子どもたちの葛藤はどれほどのものだったでしょう。周りの大人は、その苦しみから救ってやれなかった自分たちを責めこそすれ、ようやく苦しみから解放された子どもたちを責めることなどできないはずです。

では、子どもたちを救うために、私たちにはどんなことができるでしょうか。私はふたつの方法があると考えています。ひとつは、苦しんでいることに気づき、声をかけてあげること。もうひとつは、「死」以外の選択肢があるのだと、子どもたちにきちんと教えてあげることです。

子どもたちは、人間関係や勉強、進路…たくさんのことで悩み、苦しんでいます。心配をかけたくない、迷惑になりたくない、そんな思いで誰にも悩みをうちあけられず、ひとりで苦しんでいる子どもたちがきっといるはずです。だけど、本当は助けてほしいんです。たった一言、「大丈夫?」「しんどくない?」「いつでも話を聞くからね」と声をかけてもらえるだけで、心に抱えていた荷物をすっとおろすことができるのだと思います。気づいてくれている人の存在は、それだけで子どもたちの支えになります。どんなに忙しくても、子どもたちと向きあい目を配ることを大事にしたいと思います。
もうひとつ大切なのは、子どもたちにいろいろな選択肢を教えてあげることです。我慢すること、逃げずに戦うことを学ぶのも大事なことですが、何よりも大事なのは生きることです。どうしようもないほど苦しかったら、学校に行かなくても(来なくても)いい、転校することだってできる、逃げてもいいから命を大切にしてほしいということを一番に教えてあげてほしいと思います。子どもたちにとっては、学校と家庭が二大コミュニティです。それ以外の選択肢を知らない、あるいはそれ以外の選択肢は選べないと思っている子どもたちも多いのではないでしょうか。だからこそ、私たち大人は子どもたちを守ってあげる必要があるのだと思っています。

次代を担う子どもたちの尊い命。苦しむ子どもたちが少しでも早く笑顔になれるよう、私たちの力で守れる命は、全力で守り抜きたいと思います。

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プロフィール
堀 仁美(ほり ひとみ)
NPO法人With優 若者支援専門員。山形大学人文学部卒・
山形大学大学院社会文化システム研究科。酒田市出身。


[置賜篇] 「With優フェス」開催! 堀 仁美 (NPO法人With優 若者支援専門員)

with優ふぇす


少し前の話になってしまうのですが、今年With優では、初めての文化祭「With優フェス」を開催しました。今回は、その時のお話をしてみたいと思います。


そもそもWith優で、なぜ文化祭をやったのか。まずは、そこを少しご説明します。

ことの始まりは2年前。With優で運営している「居酒屋 結」でトレーニングしていた若者の1人が、もともと音楽の道を目指していたという話を聞きました。彼は就職が決まり、「結」でのトレーニングを卒業。一緒に頑張ってきた仲間たちに、自身で作詞作曲した応援ソングを届けたいと言います。そこで初めて、「結」を会場に、ライブイベントを開催しました。その流れで、翌年もライブイベントを開催することになります。その時は「結」の近くにあるライブバーを貸し切り、彼だけでなく、フリースクールの生徒1名とサポートステーションの利用者1名も弾き語りを披露してくれました。そのライブイベントの延長が、今回の「With優フェス」です。

With優フェス」は、フリースクール卒業生によるトークセッションと、生徒・利用者によるステージ発表の2部構成で行いました。また、ステージ発表のほかに、利用者が作った雑貨やアクセサリーの展示・販売もしました。With優関係者にしか広報しませんでしたが、出演・出展は全部で30名ほどになり、100名近くの方が遊びに来てくれました。


今回の「With優フェス」を企画・運営してみて、自分を表現したい・見て欲しい・知って欲しいという若者の多さに驚かされました。特に、今回参加してくれた若者は、不登校だったり、引きこもりだったり、人間関係でうまくいかなかったり、仕事が続かなかったりと、何らかのつまづきを経験している人が多かっただけになおさらでした。

私自身、つまづきを経験している若者たちは人前に出ることを嫌がるのではないだろうかと、どこかで決めつけてしまっていたところがあったように思います。それは私だけでなく、なんとなく一般論として、そう感じている人が少なくないのではないでしょうか。
それはどうやら、全く逆だったようでした。確かに、With優で関わる若者の中には、学校や家庭、職場などで失敗経験を繰り返し、自信を持てなくなってしまったり、人前で自分を表現することに消極的になってしまったりしている人が多いように感じます。その一方で、そうした若者の多くが、自分の可能性や才能を発信でき、それを認めてもらえる場を求めているようでした。トークセッションの時、フリースクールを卒業した女の子が送ってくれたメッセージです。


これまでは、自分の狭い世界に閉じこもって、同じことでひたすら悩んでいました。

With優に来て、自分という存在を認めて、受け入れてもらえるということを知り、ずっと、満たされなかった思いが満たされたときから大きく変化しました。

自分が足を踏み出すか、踏み出さないか。失敗してもいいから挑戦しようと思えるか。

自分が今、生きているのは、これまで出会った方々のおかげです。人との出会い、そして、繋がりを大切に。


自分を表現したい、認めてもらいたい。誰もが持っていて当然の欲求ではありますが、With優で関わる若者たちもそうした思いを抱えているということを再認識できたことは、私にとって大きな気付きになりました。
安心できる居場所があり、失敗しても良い環境があり、頑張りを認めてくれる仲間がいること。それが、どんな若者にとっても大きな力になっていくのだと、この「With優フェス」を通して改めて感じています。それでも、今はまだそうした居場所や仲間に出会えていないという人も、きっといるのだと思います。みんなが誰かとつながって、ありのままの自分で、笑顔でいられる場所。1人でも多くの人が、そんな居場所を手に入れられるよう、活動を続けていきたいと思います。

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プロフィール
堀 仁美(ほり ひとみ)
NPO法人With優 若者支援専門員。山形大学人文学部卒・
山形大学大学院社会文化システム研究科。酒田市出身。

平成27年度 やまがたNPO活動促進大会

11月13日(金)に山形メトロポリタン(山形市)で行われたやまがた「NPO促進大会」(以下「促進大会」と略記)に参加してきました。このイベントは県内の様々なNPO活動による活動発表や県民活動に関するセミナーを通して、NPOの社会貢献活動に触れる機会を県民に提供することによりNPO活動への関心を高め、参加を促すとともに、多様な主体による協働の取り組みへのきっかけづくりを行うというのを目標にしており、 県内で活動している団体の活動紹介や表彰式、講演会や助成金の経過報告会などが行われました。

促進大会

第一部は表彰式で、県内の様々なNPO団体が表彰を受けていたのですが、なんと上山明新館の農業部の若者達がエントリーしていて、なおかつグランプリとして表彰されていました。事業名は「桑から広がる農地復興プロジェクト」。内容は震災の津波の影響により未だ除塩が進まないという状況があり、それを桑とモミガラを使って、農地の物理性、化学性を改善し、再び生産活動のできる環境にする事を目的とし、「農地復興プロジェクト」に取り組んでいるというものでした。上山と名取市は姉妹都市という事もあってこの取り組みを行っているとのこと。

NPO団体が行っているような仕事を若い世代の少年少女たちが行っているということが私は凄いと思いました。自分が知らないだけで色々な人達がそれぞれアンテナを立てて、動き始めている。自分たちも彼らに負けないよう頑張っていきたいです!

(文責:宍戸浩介)

第二部では、はじめに山形大学COC推進室コーディネーター・堀内史郎さんより「これから求められる協働とは~地域の課題を解決するために求められる、NPO・大学等の果たす役割~」をテーマに県民活動推進セミナーが行われました。

堀内さんは地域で問題解決に取り組む人々についての研究を行っており、地方都市の人口減少などが問題視されている現在、地方創生を成功させるためには地元住民と、新しい視点や価値観を有したよそ者の協働が何より大切で、さらにその二者を繋ぐ「仲介者」の存在が必要不可欠であるというお話をされました。そして、地域の魅力や問題・限界を理解でき、必要に応じて行政や企業と連携できるNPOこそが「仲介者」にふさわしい、ぜひ「仲介者」の役割を果たして欲しい、と堀内さんはおっしゃっていました。

このセミナーを通し、NPOの多様性や柔軟性を再認識することができました。

次に、「やまがた社会貢献基金」助成事業成果報告会ということで、平成26年度に「やまがた社会貢献基金」を活用して行った事業の実施状況や成果、課題の報告が行われました。

報告会では、大蔵村の「合海田植え踊り保存会」による、子どもからお年寄りまで顔の見える地域づくり事業として、小学生を対象に田植え踊りの練習会を行うなど、伝統芸能の継承や公開活動に取り組んでいる様子を報告したり、米沢で若者の学習支援や就労支援を行っているNPO法人「With優」が、若者が高齢者向けにいくつかのサービスを行う「何でも屋さん」事業の取り組みを紹介したりしました。

促進大会に参加してみて、県内各地域が抱えている問題・課題などを知ることができたと同時に、自分だったら何ができるのかを考えさせられる貴重な機会でもありました。   

(文責:大原克彰)

[置賜篇]私がしたことは、 私が選んで決めたこと

「私がしたことは、私が選んで決めたこと」。
今回は、私の座右の銘について書いてみたいと思います。


私は小学生のころから、全く宿題ができない子どもでした。学力的に低かったというわけではない(と自分では思っている)のですが、長期休暇の課題は期日までに出せた記憶がありません。小学生のころは夏休みの日記を最終日に書き始め、結局提出しないまま卒業しました。中学生のときは、他の人の課題を借りて、名前を書き換えて提出しました。高校生のときには、あまりにも課題を出さないので、部活禁止令を食らった挙句、顧問が怒って部活に来なくなってしまい、部員全員からこっぴどく叱られました。大学生のときには、期末レポートの提出日がすぎてから、中間レポートにとりかかったこともあります。とにかくそんな調子で、社会人としてもかなりギリギリのラインを行っているところです。

さて、大学生のときにずいぶんと出すのが遅くなった中間レポートですが、その課題書籍から、私の座右の銘は生まれました。細かいところまで覚えているわけではないのですが、そこに書いてあったのは、「宿題をしないのは、結局は自分の意思による選択である」といった内容のことでした。お母さんに怒られるかもしれない、でも宿題をするのはめんどくさい。当時はあまり自覚していませんでしたが、こんなふうに選択肢を天秤にかけた結果として、私は宿題をしなかったのだと思います。


そんな当たり前のことを…、と思う人もいるかもしれません。でも、「『自分の意思』による選択である」という言葉の本当の意味は、もう少し深いところにあると私は考えています。私たちは、ただ単に「お母さんが怒る」ということと「宿題をしない」ということを天秤にかけているわけではなく、「お母さんに怒られるのは嫌だ」という『自分の意思』と、「宿題をするのがめんどくさい」という『自分の意思』を天秤にかけているのです。

例えば、私の友人が保育士免許のとれる大学に通っていたのですが、彼女は就活のときに揺れる胸の内を話してくれました。
――保育士の免許はとったけど、給料が安いから友達はみんな別の仕事を探してる。親戚はもっといいところに就職しろって言うし、母はせっかく資格をとったんだからって言うし、どうしたらいいかわからない。――

このとき、高い給料をもらうかもしれない友人をうらやましく思うのは『自分の意思』だし、親戚を見返してやりたいと思うのも『自分の意思』だし、母親を失望させたくないと思うのも『自分の意思』です。でも、そのことに気づかないと、何か不満があったときに「人のせい」にしてしまいがちになります。「あの子を見習ってこの仕事にしたのに、給料が安かった」とか、「皆が言うからここに就職したけど、やっぱりやりがいが感じられなかった」とか、「母が言ったから保育士になったけど、本当は別の仕事の方が向いていたんじゃないか」といった具合です。そして困ったことに、こうした「人のせい」は、残念ながら後悔と直結しているように感じるのです。


With優で関わる子ども・若者の中には、こうした「人のせい」の後悔で苦しんでいる人が少なくないように感じます。「学校の先生がこう言ったから」とか「家族が悲しむと思って」とか、そんな「人のせい」にとらわれて、そのことをずっとひきずっている人がたくさんいるのです。

でも、それが『自分の意思』による選択なのだと気づくと、後悔こそすれ、「人のせい」にはしなくなります。では、後悔もしないようにするにはどうしたらよいか。それは「『自分の意思』で選択している」ということを予め自覚することだと思います。そうすることで、自分で決めたのだからしかたない、と思えるようになるのではないでしょうか。なかなか簡単なことではありませんが、子どもたちには、後悔しない毎日を送ってほしいと思います。そのためにも、私も少しずつこのアドバイスを伝えていければと思います。


*参考までに、中間レポートの課題書籍は「アドラー心理学」に関するものでしたが、私は心理学の専門家ではありませんので、解釈には間違いもあるかと思います。ご了承ください。


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プロフィール
堀 仁美(ほり ひとみ)
NPO法人With優 若者支援専門員。山形大学人文学部卒・
山形大学大学院社会文化システム研究科。酒田市出身。

[置賜篇]居場所と役割


with優


特定非営利活動法人With優は、団体設立から今年度で9年めに入りました。当初から運営しているフリースクールに加え、若者の就労支援を行う置賜若者サポートステーションや、トレーニングの場である会員制居酒屋結など、さまざまな事業を展開しています。今年5月には、地域の誰もが気軽に集える場所として、「駄菓子屋・寺子屋」をオープンしました。

わたし自身はWith優に就職して3年めになり、今年は「駄菓子屋・寺子屋」事業のコーディネートを担当しています。地域の方の居場所をつくるというこの事業に関わるなかで、仕事を始めた当初に比べて、自分の考えかたが変わってきていることに気づきました。それは、「何もしなくてもよい居場所をつくりたい」から、「何かやれることがある居場所をつくりたい」への変化です。


わたし自身、幼いころに人間関係で悩み、それを家族に相談できずに苦しんだ経験があります。そのときのことを思い出すたびに思うのが、「学校や家庭以外で、安心して過ごせる場所があればよかったな」ということです。子どもたちが安心して過ごせる場所、日常の悩みや苦しみから少しの間でも解き放たれて、自由に楽しく過ごせる場所が必要だ、とそう思いました。そのためには、「何もしなくてもよい居場所」をつくるべきだと考えたのです。


しかし、With優で働き始めて、それが少し違うのかもしれない、と感じています。

With優を利用する子ども・若者のなかには、これまでに学校や職場、家庭などでうまくいかなかった経験を重ね、自信を失っている人も少なくありません。そのせいで、自分のしたいことに挑戦できなかったり、そもそもしたいことがなかったり、わからなくなってしまったり、という人もいます。でも、そうした人たちのほとんどが、「誰かの役に立ちたい、自分を認めてほしい」と思っているようでした。

実際に、フリースクールの生徒を見ても、サポートステーション等の若者を見ても、役割を与えられたときや、責任ある仕事をやり遂げたあとには、とても生き生きしているように感じます。

例えば昨年度、不登校だった中学生の男の子がフリースクールに入学しました。最初は授業を受ける体力もなく、別室で休んでいることも多かったため、彼にその教室の責任者をお願いすることにしました。その翌日、登校日でなかったにもかかわらず、彼は自転車でフリースクールに来て、その教室の大掃除をしてくれました。

スタッフや他の生徒たちから感謝の言葉をかけられ、照れくさそうに、でも少し得意そうにしていた彼の姿を、今でも思い出せます。そんな小さなきっかけで、彼は少し自信がついたようでした。

その後、あるプロジェクトの一環で出演したラジオでは、生徒代表という責任感をもって堂々と話をすることができました。
そして卒業式では、ギター伴奏担当として一生懸命練習を重ね、1年間の集大成とも言える素敵な演奏を披露してくれたのです。最初の一歩は小さくても、だんだんと大きな役割、大きな責任を負えるようになり、彼は1年間で目を瞠るような成長を遂げました。

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このように、子ども・若者たちが、役割を与えられ、信頼されることで成長していく様子を間近で見るなかで、子どもたちに必要なのは、「何かやれることがある居場所」だと思うようになったのです。もちろん、居場所そのものがもつ役割はひとつではないと思いますし、さまざまな居場所があってこそだと思います。「何もしなくてもよい居場所」を必要とする子どもたちもいるに違いありません。それでも、自分を頼りにしてもらえる場所がある、ということが支えになる子どもたちもいるのではないでしょうか。With優の「駄菓子屋・寺子屋」が、子どもたちにとってそんな場所になっていくように、そしてそんな場所が県内各地に広がっていくように、これからも活動していきたいと思います。 

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プロフィール
堀 仁美(ほり ひとみ)
NPO法人With優 若者支援専門員。山形大学人文学部卒・山形大学大学院社会文化システム研究科修了。
酒田市出身。

「若者活動ゼミナール@庄内」パネルトークの記録 (2014/09/20)

パネルトーク庄内①

[パネリスト] 

●柴崎洋一さん「プライマルプロジェクト」(新庄市)
 → まちなかで活動する、高校生の映画上映サークルの顧問をしています。

●堀仁美さん「NPO法人With優」(米沢市)
 → 郊外で、困難を抱える若者を支援する居場所づくりをしています。

●嵐田詩子さん「ひまひま編集部」(山形市)
 → まちのあちこちで、読書会やミニコミづくりの活動をしています。

●渡辺智史さん「いでは堂」(鶴岡市)
 → まちのあちこちで、庄内文化を可視化し発信する活動をしています。

[パネルトーク] 

パネルトーク庄内②

――今日は、県内の各地域でさまざまな活動に取り組んでおられる活動者の方がたに集まっていただきました。みなさんはどのような問題意識でその活動をなさっているのですか? 活動を通じて、みなさんが目指す地域の将来というのはどのようなものですか?

●柴崎 「プライマルプロジェクト」は、高校生が中心となって活動する映画上映サークルです。これまで約20年間活動してきて、50本ほどの作品――『おくりびと』『恋空』『おおかみこどもの雨と雪』などなど――を、新庄の人びとに届けてきました。というのも、私たちの街には映画館がありません。そんな場所で、唯一地元で映画にふれるチャンスが、私たちのつくりだしている上映会になっています。人口減少が進む地方では、文化にふれる機会が周りからどんどん失われている状況です。足(自動車)がないと文化にふれられない。「買い物難民」をもじって「文化難民」と呼んでいます。この状況になんとか抗っていこうと活動しています。

●堀  「With優」は、困難を抱える若者たちを支える居場所づくりとして、フリースクールや地域若者サポートステーション、カフェ&レストラン、会員制居酒屋などを運営しています。誰もが幸せにいられる地域社会づくりが目的で、とくに、地域社会から孤立してしまいがちな「困難を抱える若者」――不登校やひきこもり、ニートなどの若者たち――に焦点を当てて活動しています。取り組みを始めて8年目、活動の規模も内容も当初にくらべるとかなり大きくなりましたが、大きくなってしまったぶん、それらを維持・継続していくのがなかなか大変になってきています。

●嵐田 「ひまひま編集部」は、『ひまひま』という参加型の手づくりミニコミを発行しながら、読書会など、本にまつわる活動をしています。「ひまひまに」、つまり、本業のあいまあいまに何かおもしろいことをやろう、という感じで始まった活動です。3.11の震災直後に創刊号を出し、3年目の現在は12号まで発行しました。月1回、街なかの公民館や図書館、カフェをめぐりながら開いている読書会も30回以上になります。気がつくと、県内のあちこちで、私たちと同じような読書サークルやブックイベントの活動が活発になってきているようで、時代のニーズに知らずふれていたのかもしれません。

●渡辺 いでは堂」は、UIターン経験のある若手クリエイター6人でつくっているクリエイティヴ・チームで、現在、『picnic』というフリーペーパーを制作・発行しています。庄内にUIターンした自分たちが「いいな」と思った庄内の暮らしや文化のありよう、その価値を可視化し発信していくことを目的に、上記の冊子を発行したり、それと連動したイベントを開催したりしています。庄内人口は約300,000人ですが、この5年で5,000人ほど減少しています。このままでは遠くない将来、まちが消えてしまう。そうならないように、UIターンを推進したいと思っています。そのために、まずは庄内の魅力を人びとに伝えていこう、というわけです。

――なるほど。活動の背景にあるいろんな思いを語っていただきましたが、それを現実化していくには、さまざまな資源(仲間、おカネ、協力者、専門技術、資材などなど)が必要かと思います。自分たちの活動のために、そういう資源をきちんと確保するにはどうすればよいでしょう? そもそも、これまでどんなふうに資源を手に入れてきましたか?

●渡辺 私たちの場合は、フリーペーパーに登場していただく地元の生産者や商店主、広告主となる企業など、多様な人たちとつながりや関わりをつくっていくことが不可欠です。どうやって彼(女)らと信頼関係をつくっているのかというと、要は、農家さんや店主さんの悩みを聴く、ということをやっています。カウンセリングのように、相手の話を聴きながら、面白いところ、ユニークなところを引き出していくんですね。そうやって、まちのあちこちで、いろんな人たちとつながっていくわけです。

●堀  同感です。私も、地域の資源といったときに、いちばんは“人”だと思います。活動していると、それを支援したい、何か手伝わせてほしいという人たちが、まちや地域にはたくさん存在しているようだということが徐々にわかってきます。では、そういう人たちとどうつながっていくのか。やっぱり私たちも、彼(女)らの声を聴き、そこからニーズを探っていくしかないと思っています。いきなり来られてニーズを訊かれても困るだろうと思うので、私たちの場合は、「何かないですか?」とひんぱんに話を聴きに行くようにしていますね。

●嵐田 私たちの場合は、どうやってたくさん人を集めようかみたいな発想はあまりありません。ゆるくやっていて、別にたくさん集まらなくてもいいや、という感覚です。ただ、少ないながらも異なるジャンルの人たちが集うので、毎回、異業種コラボレーションになっています。多様なジャンルの人たちに来てもらう工夫としては、私たちは本にまつわる活動ですので、本に関するいろんな切り口を提示して、いろんな入り口から人が入ってこれるようにしています。中心商店街の観光施設で古本市とか、薄暗い蔵カフェで怪談読書会とか、ちょっとテンションがあがる場所に本を置いてみる、みたいな感じですね。

●柴崎 私たちの場合は映画がらみの資源となりますが、そうなると、①地元出身/在住の映画監督、②フィルムコミッション、といったものがあがってきます。こういった方々が地元を題材あるいは素材にして映画を撮ることも増えてきていますが、それは、地元の人からしてみたら他所の人から自分たちの地域を承認してもらったということを意味しています。そう考えると、地域そのものを映像資源として使ってもらうよう、もっと働きかけをしていってもいいのかもしれません。

パネルトーク庄内③

――今後の展望などはいかがですか?

●柴崎 実を言うと、手をひきたいけどまだひけない、くらいの感覚でいます。「始めるのは簡単だが続けるのは難しい」とよく言われますが、実はやめるのも難しいのです(笑)。

●堀  私の場合は、法人代表が地元好きなので、それにつきあっている、という感じです。私は酒田出身なので、いずれは酒田に戻り、そこでWith優のような活動がしたいと思っています。

●嵐田 現状に満足しているので、とくに目標とかは考えていません。ただ、場に育てられているなあという感覚はあるので、そのうち何やら欲が出てきて何か始めたくなるかもしれません。

●渡辺 私たちはルールもスタイルも定めずに活動しています。長期的ビジョンがあるわけではありません。どこからどんなふうに始めてもよい、というのが気持ちいいんですよね。いわば実験場です。例えば、酒屋さんとのコラボで、屋外でみんなでお酒を飲む企画とか、どんどんおもしろいことやこだわりたいことを提案していくことが大事。いろんな人と話すなかで楽しいことがうまれていくでしょうから。

――それぞれ「らしい」お答えですね。どうもありがとうございました。 (了)

若者活動ゼミナール@庄内 開催します!

県内4地域から集まった異分野の若者活動団体による事例発表をもとに、パネルトークやディスカッションを行います。やまがたの若者活動についてみんなで考え、熱く楽しく語り合う時間です。
ご興味のある人は、ぜひお越しください!
若者活動ゼミナール庄内チラシカラー


■9月20日(土)14:00 -17:30 
■酒田市中央公民館(酒田市中央西町2−59)にて  
■入場無料 ■定員20名 ■申込締切:9/17 
■申込:yamagata_madoakari@yahoo.co.jp 



=====事例発表団体=====

いでは堂(鶴岡市) 
 映像・写真・デザイン・コピーライティングなどクリエイブなチカラで地域の魅力を発見・編集・情報発信!

プライマルプロジェクト(新庄市)
  地元の中高生が中心となり、自主映画上映会や子ども工作教室など、さまざまな取り組みで地域を元気に!
 
★特定非営利活動法人With優(米沢市)
 フリースクール運営を中心とした、どんな子どもも大人も自分らしく生きていけるような地域社会づくり!

ひまひま(山形市)
  読書会や寄稿型ミニコミ誌づくりなど、「よみ・かき」を通して人と繋がる、ゆるやかな文化的コミュニティ!


=====【タイムテーブル】=====
 13:45 事例発表団体集合、打合せ
 14:00-14:15 受付、あいさつ
14:15-15:15 〈第一部〉(事例発表(10分)+参加者シート記入時間(5分))×4団体  
  15:15-15:25 休憩
  15:25-16:15 〈第二部〉パネルトーク
  16:15-16:25 休憩
  16:25−17:25 〈第三部〉テーブルディスカッション
  17:25-17:30 まとめ・あいさつ

いまこれ@置賜 事例発表動画④特定非営利活動法人With優

2014年1月11日に、米沢市すこやかセンターで開催した
「やまがたの若者のいまとこれから@置賜」での事例発表の様子を動画でお届けいたします!
ラストは、米沢市で活動している、特定非営利活動法人With優さんです!


2014年3月1、2日に開催する
「実力養成!若者活動講座」へのご参加、お待ちしております!

「やまがたの若者のいまとこれから@置賜」無事終了しました!

1月11日(土)、米沢市すこやかセンターにて開催した「やまがたの若者のいまとこれから@置賜」、無事終了いたしました!
ほんきこ。02

当日はお足下の悪い中、24名(村山からは10名)の方にご参加いただき、大変盛り上がりました!
前半の事例発表の様子をレポートします。

続きを読む

「やまがたの若者のいまとこれから@置賜」参加者募集!

置賜地方で活動する若者団体の事例発表をもとにした、事例検討学習会を開催します!
〈若者の居場所づくり活動パワーアップ講座
 やまがたの若者のいまとこれから@置賜

ぷち研修会@置賜チラシ_1_カラー

〈日時〉1月11日(土)14:00-17:30
〈会場〉米沢市 すこやかセンター 第1会議室
    〒992-0059 山形県米沢市西大通1丁目5−60
*定員30名 
*申込締切:1月8日(水)
      お名前、所属団体(あれば)、ご連絡先をメッセージください。電話、FAX、メールでも受け付けております。

○*○こんな人にオススメです!○*○
◆なにか若者同士での活動を始めたい人
◆活動をしているけれど悩みがある人
◆若者ってどういうことをしているか知りたい人
◆新しい人と繋がりたい人

ぜひお越しください!


=====〈事例発表団体〉=====

特定非営利活動法人 With優(米沢市)
 フリースクールを中心とした、どんな子どもも大人も自分らしく生きていけるような地域社会づくり!

studioこぐま(小国町)
 休校舎を拠点に活動するアーティスト集団!芸術と文化のプラットフォームを目指す!

ほんきこ。(置賜地方全域)
 本と人を愛するミニコミ誌制作や読書会など、言葉の表現でつながる人たちの居場所づくり!

おれまか(高畠町)
 「若者によるまちづくり」をコンセプトにキャラクターや音楽・コスプレ等のイベントで町を元気に!

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〈申込・問合〉NPOぷらっとほーむ 
       〒990-0041山形市緑町4丁目10-3 ファートンビル3階A
       Tel&Fax:023-664-2275  
        E-mail:hodohodokayako@yahoo.co.jp(担当:黄木可也子)

〈主催〉NPOぷらっとほーむ 「若者の居場所づくり活動支援事業」(山形県村山総合支庁から受託)

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やまがたの若者のいまとこれから@置賜 開催します!

置賜地方で活動する若者団体の事例発表をもとにした、事例検討学習会を開催します!
〈若者の居場所づくり活動パワーアップ講座
 やまがたの若者のいまとこれから@置賜

ぷち研修会@置賜チラシ_1_カラー

〈日時〉1月11日(土)14:00-17:30
〈会場〉米沢市 すこやかセンター 第1会議室
    〒992-0059 山形県米沢市西大通1丁目5−60
*定員30名 
*申込締切:1月8日(水)
      お名前、所属団体(あれば)、ご連絡先をメッセージください。電話、FAX、メールでも受け付けております。

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プロフィール

ぷらっとほーむ 「まどあかり」編集部

Author:ぷらっとほーむ 「まどあかり」編集部
山形市にある「NPOぷらっとほーむ」の〈若者の居場所づくり活動支援事業〉のブログです。
山形県内各地で活動している若者団体や個人のインタビュー、イベント情報や参加レポートなどを随時更新していきます。

2016年度の本事業は、〈一般財団法人 人間塾〉の助成を受けて取組んでいるものです。
〈一般財団法人 人間塾〉

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