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「ほんきこ。」から 「Book!Book!Okitama」 までの道 ~荒澤 久美 (『ほんきこ。』編集長)~

ほんきこ

ほんきこ。」というミニコミ誌が生まれたのは今から14年前(2003年)のこと。図書館に出入りしていた20代後半の若者6人で、たった12ページの冊子を300部、すべて手作業で製作することからはじまった。ちょうど独り暮らしを始めた私のアパートで夜な夜な繰り広げられていた、実にくだらない話。そこから企画や特集は生まれた。内容は主に、仕事や恋愛、結婚について。自分が思っていること、悩んでいること(「人生相談」コーナーは人気だった)。遠くへ旅する者もいれば、自分の趣味について熱く語る文章もあった。混沌としていた「自分探し」時代である。

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もともと来る者拒まず、去る者追わずをモットーとしたゆる~い団体なので、メンバーは20名ほどに増え、内容は益々バラエティに富み特集の厚みが出てきた。と同時に、結婚や出産体験記、子育て、家族、生活について書く者も出てきた。中心メンバーが30代に入り、ライフステージが変わったのだ。私自身も結婚し子育てが始まると、冊子発行の編集や印刷に費やす時間が全くなくなった。なので、活動の中心を「読書会」に変更。担当者がテーマや場所、運営すべて段取り、誰でも回せるしくみにした。

ほんきこ。」の活動が長年続けられた秘訣は、ここにあると思う。そのときできる者が、無理のない範囲の内容ですること。20代~30代~40代では、社会的役割はさることながら、周りから求められることと、自分個人でやりたいことの割合が違う=時間の使いかたが違うのだ。だからそのときにできる範囲のことをする。そのうち、健康や介護、墓問題などの特集が出てくるだろう(笑)。


ほんきこ。」は日常のゆるい小さなコミュニティの場。それをイベント化したのが「Book!Book!Okitama」(以下BBO)である。BBOは「本」を通してひと、店、まちがつながることを目的としている。「本」のいろんな楽しみかたや可能性を見出し、置賜内のカフェやギャラリー、書店、図書館などに協賛いただくことで、私たちが住んでいる地域を違った側面から知るきっかけとなった。

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3回目のBBOが終了した昨年、今まで関わった本づくりのプロの方(装丁家、漫画家、編集者など)の原稿やトークイベント内容、書評、まちのひとの紹介などをまとめた「nda nda!(んだ んだ)」という冊子を発行した。「ほんきこ。」と大きく違うのは、こちらは冊子を購入していただくことで運営費に使用できるよう販売物として製作したこと。人間、「お金」が絡むと(笑)、「ほんきこ。(マジ)」になる。手にとってもらえる表紙デザインとタイトル、レイアウト、写真、読んで何らかの楽しさを感じてもらえるか、得した気分にさせる情報を掲載できたか、コアなひとだけでなく活字が苦手なひとにも興味をもってもらえるか・・・などなど。読者ターゲットをどこにするか、いちばん迷った。

ほんきこ5

イベントを通して知り合った本づくりのプロの人たちとの関わりで、私の出版物製作への意識は明らかに変わったと思う。そして、発行したのはいいが、これからが本番だということにも気がついた(遅い?)。宣伝、営業、取扱店との交渉、納品、集金・・・。書店などに置いた場合、いかに目立たせたポップにするか、実行委員と知恵を出し合い、手売りをし、反応を見ながら営業をしている。伝えたいのは、BBO本来の目的と、地域からの情報発信。これから知らず知らずのうちに消えていく地域独自の文化がある。それらを残していきたいという思い。

もっぱら「ほんきこ。」よりもほんきこになって宣伝、営業、販売している私である。販売物としての「冊子」づくりの挑戦はまだ始まったばかりだ。(了)
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Book!Book!Okitama “読書と昼寝の日曜日”で まったりしてきた!

2014年6月21日から29日にかけて、9日間にわたって行われたブックイベント、Book!Book!Okitama
置賜地方の各地で、28件の協賛店による本をテーマにした企画やトークイベントが行われましたが、最終日の6月29日の日曜日は川西町フレンドリープラザにて、「読書と昼寝の日曜日」というイベントが開催されました。

置賜地方初の一箱古本市や、吉野弘の詩にもとづいた真昼の天体観測の企画、遅筆堂文庫での「井上ひさし 本の読み方十箇条」展など、本を読みたくなる、本とのつながり方をひろげるしかけが盛りだくさんでした。
紙モノ・本にまつわるグッズ市場では、ブックカバーやしおり、蔵書票、本を入れるバッグやポストカードなど、個性的で可愛い、本にまつわるモノたちが所狭しと並べられ、お店の前から動けなくなる人が続出です。
普段、文庫にブックカバーなどわざわざ着けないのですが、長井紬のはぎれを使用した手作りのブックカバーの優しい手触りにほっこりし、読書のお供にこういうのも良いかも!と新たな発見があったり。

studioこぐまさんのワークショップ「和綴じノートをつくろう!」では、紙を折って糸で綴じる作業をしながら、本ってこうしてテマヒマかけて作られたり、保存されたりするものでもあるのだな、と本という形態そのものへの愛着が湧いてきたり。
五感を駆使して本との付き合いを楽しんでいると、もちろんおなかがすいてくるので、1day cafeで地元のお店のカレーやうどん、パンとコーヒーなど色々な美味しいものをいただきました。
おなかがいっぱいになったら、また本です。
一箱古本市で、読みたかった本や知らない本に出会ったり、店主さんと趣味が合うことに内心ニヤニヤしながら会話したり、読んでいる本って人それぞれだなぁと再確認したり。
ライブ演奏やオカリナの生演奏の演出もあるなか、笑い声や話し声が響き、にぎやかでなごやかな時間が本とともに流れていく、とても楽しいイベントでありました。
川西町フレンドリープラザは、置賜地方のどの市町からもだいたい同じくらいの時間で出掛けて来ることができる位置にあり、遅筆堂文庫の堂則にあるような有志の人びとの拠点としての役割を果たしています。
本を通じて、図書館の司書さんが丁寧に本とひと、ひととひとをつないできたことが、置賜地方のまちの魅力のひとつをつくりだしていると感じました。
とにかく楽しくて、また置賜に来たい!と思った一日でした。
(文責:小林澄子)

インタビュー:「場」をつくる人びと(1)活字文化の居場所づくり~松沢久美(ほんきこ。編集長)

6月に置賜地方を舞台に、はじめての広域的なブックイベント「Book! Book! Okitama」が開催される。
その仕掛け人である松沢久美さん(ミニコミ誌『ほんきこ。』編集長、川西町立図書館/遅筆堂文庫・司書)に話を聞いた。

■「Book! Book! Okitama」とはなにか 

――「Book! Book! Okitama」とはどんな企画ですか?

6月21日から29日にかけて、置賜地方の各地で同時多発的に行われるブックイベントです。
「本をネタに遊んでみようよ」というコンセプトで、米沢や高畠、長井など、置賜各地の28件の協賛店で、その期間中に何かしら本につながる企画を実施してもらいます。
「よりみちブックイベント」という名称で、地域のあちこちをめぐってもらえたら、と思っています。

――例えばどんな協賛企画がありますか?

例えば、カフェであれば、そこで本につながるメニューを出す、みたいな感じですね。
ちなみに12のカフェが協賛店になってくださいました。

――他にはどんな催しが行われますか?

本にまつわるトークイベントを開催します。
第一線で活躍されている装丁家・桂川潤さん、置賜在住の漫画家・関口シュンさん、そして置賜在住の若手作家・池田将友さんをお招きして、「本」や「活字」をテーマにお話を伺います。
29日には、フィナーレ企画として、本にまつわるワークショップや企画展などを行いつつ、置賜ではじめての「一箱古本市」を開催します。

■活動基盤としての「ほんきこ。 

――「Book! Book! Okitama」の概要を伺ってきましたが、何の前提もない場所で、突然こういった企画が可能なわけではないですよね? そういう意味で、この広域ブックイベントの背景としては、松沢さんたちのこれまでの『ほんきこ。』編集部での活動がたいへん大きい意味をもっているのではないかと思っています。そこで、次に、『ほんきこ。』の活動について伺いたいと思います。『ほんきこ。』の概要を教えてください。

 『ほんきこ。』は、いまから10年以上前、当時20代後半だった私が、同世代の仲間たちといっしょに創刊したミニコミ誌です。
男3人女3人の計6人が当初のメンバーでした。
当時の自分は、まだ職場(※川西町フレンドリープラザ。その施設内に川西町立図書館ならびに遅筆堂文庫がある)に勤めはじめのころで、家と職場の往復という毎日につまらなさを感じていたんですね。それで、何か面白いことができないかと思ったわけです。
さいわい、フレンドリープラザは、井上ひさしさんゆかりの文化施設ですので、おもしろい人たちがたくさんやってくる。図書館の窓口でそういう人たちと日々接している中で、彼(女)らどうしをつなげたらおもしろいことになるな、と思ったんですね。

――ミニコミの活動って具体的にはどんなことをするのですか?

基本的には、仲間で集まってお茶のみをする場です。
お茶をのみながらおしゃべりして、それぞれが思ったことや考えていることなんかを文章につづって、それをもちよって簡単な冊子をつくるんです。
冊子も、自分たちで印刷したり製本したりするわけですが、そうやって実際に集まって、にぎやかにおしゃべりしながら作業を進めていくんですね。
最初の2年くらいは月刊で発行していましたが、その後、メンバーが増えたこと、誌面の質を重視するようになったことなどから隔月刊となりました。
当時は、15人くらいのメンバーで、各号ユニークな特集を組んで、多いときには800部くらいを刷っていました。
中心メンバーがアラサーで、比較的集まれていた時期だったというのが大きいですね。

――どんな特集を組んでいたのですか?

例えば、「置賜ノーソン・リアルライフ」とか。メンバーたちのある1週間の消費行動――具体的には、その1週間のすべてのレシート――を赤裸々にさらす、という企画ですが、これはかなりおもしろかったですね。
あとは、「夏休みの課題図書」を選定して紹介する企画とか、置賜各地のシュークリームの食べ比べ企画とか。
とにかく、バカバカしいことばかりやってましたね。
バカバカしいことをまじめに追求する。
ミニコミの本質って、要するにそういうことなんですよね。
ちなみに、「ほんきこ」というのは、置賜の方言で、「本気で」とか「まじめに」とかいう意味の言葉なんですよ。

――なるほど。現在、『ほんきこ。』は何号まで出ているのですか?

54号ですね。
実をいうと、現在は発行のペースがだいぶ落ちているんです。
というのも、中心メンバーが30代半ばにさしかかるころから、次第に、頻繁に集まることが難しくなってきたんですね。
そこで、活動の中心が、ミニコミの制作・発行から、本をネタにしたコミュニケーションのほうに次第に移っていきました。
それが「読書会」です。

――「読書会」では何をやっているんですか?

参加者それぞれが決められたテーマに即したおすすめ本をもちより、紹介しあうという会です。
月1回のペースで、毎回の担当者を決めて回しています。
担当者がそれぞれ置賜各地のいい雰囲気のお店を見つけてきて、そこを会場に「読書会」を開いていきます。
要するに、「読書会」の準備・開催というかたちで、地道に置賜各地のカフェや文化施設とつながり、今回のブックイベントの「種まき」をしていたようなところがありますね。

■背景文脈としての「遅筆堂文庫」  

――『ほんきこ。』の活動についてお話しいただきましたが、そもそも「ミニコミの発行」という形式を採用したのはどうしてですか?

私は図書館の司書なので、地元・置賜の郷土資料などにもよく接するのですが、そこにミニコミ誌がたくさん収められているんですね。
私たちの前の世代が若かりし頃にミニコミを活発につくっていたようで、それがすごくおもしろそうだと思ったんです。

――確かに、置賜はかつて、青年団など若者たちのコミュニティ活動が活発だった地域ですね。現在も南陽市などでそうした青年文化をリバイバルさせようという動きがありますが、そうした通奏低音が『ほんきこ。』にも流れ込んでいるということなんですね。

ええ。
実際、活動を始めると、職場の上司たちがものすごく協力的に応援してくれたんです。

――松沢さんの職場の「遅筆堂文庫」ってそもそもどういったものですか?

私たちのひとつ上の世代に、遠藤征広さんという方がいて、彼らが井上ひさしさんから蔵書の寄贈を受けることになり、それを「遅筆堂文庫」という図書館にしたんですね。
さらにそこに劇場ホールと町立図書館が組み合わさって、川西町フレンドリープラザという文化施設になったわけです。
それで、その「遅筆堂」ができるときに、井上ひさしさんから「堂則」を贈られたんですね。
この「堂則」の存在が、私たちのあらゆる活動の基礎になっていると思っています。

――「堂則」にはどんなことが書いてあるのですか?

かいつまんで言うと、ここはあなたがた「有志の人びと」の「陣地」であり「聖地」であり、「砦」であり「居場所」である、とあります。

――わくわくする言葉ですね。でも、ただ空間があるだけでは、そういった「場」にはなりませんよね。どんな工夫をして、そこを「陣地」や「聖地」、「砦」や「居場所」として機能させているのですか?

人が集うところって、楽しい刺激がありつつも、どこかでホッとできるというような、相矛盾する二つの要素が同時にあるような場だと思うんですね。
本だけ――刺激だけ――があっても人は集まらない。
そこに、人と人、人と本とをつなぐ誰かがいてはじめて、そこが「場」となっていくんだと思います。
私がこれまでやってきたのって、要するに「つなげる」ということなんですよね。
「つなげる」には、つなぎたい双方をよく観察し、それぞれの話をよく聞き、両者に共通するキーワードを見つけるのが肝心。
これって、編集そのものですよね。
だから私、編集って人に興味がないとできない仕事だと思うんです。

――最後に何かありますか。

本や活字って個人個人が孤独に楽しむもの、と思われてきました。
でも今は、それらがリアルなコミュニティを立ち上げるための媒介として成り立つ時代です。
せっかくだから私は、活字というジャンルを使って、地域の文化の力の底上げをしたいと思っています。
おもしろそうと思ったあなた、ぜひ遊びにおいでください。  
             
――ぜひみなさん、「Book! Book! Okitama」にどうぞ。    (聞き手:滝口克典)
プロフィール

ぷらっとほーむ 「まどあかり」編集部

Author:ぷらっとほーむ 「まどあかり」編集部
山形市にある「NPOぷらっとほーむ」の〈若者の居場所づくり活動支援事業〉のブログです。
山形県内各地で活動している若者団体や個人のインタビュー、イベント情報や参加レポートなどを随時更新していきます。

2016年度の本事業は、〈一般財団法人 人間塾〉の助成を受けて取組んでいるものです。
〈一般財団法人 人間塾〉

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