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「マルイシ工作室」上半期活動報告!

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みなさんにとって、2017年はどんな年でしたか? 私は、年の初めはのんびりしていたのに、新しいことに挑戦しすぎて(!?)、あっという間に季節が過ぎ去っていった1年でした。秋号の『まどあかり』では、自分の地元である中山町でスタートした「マルイシ工作室」という活動について書かせていただきました。今回は、怒涛の1年の活動を通して、感じたこと・考えたことを、つらつらと書いていきたいと思います。
マルイシ工作室」とは、『中山町って本当に何もないの!?』を合言葉に、中山町でしか出会えない人や物に出会うきっかけをつく
り、マチを再発見してもらおうという企画です。8月から、月に1度のペースで活動を行ってきました。これまでの活動で一番印象的だったのは、11月に行った「カヤカリでまるっとハウスをつくろう!」です。今は、家を建てるとしたら業者に依頼するのが「あたりまえ」です。家だけでなく、自分の暮らしに必要なものは、自分でも理解しきれないものに頼らないと成り立たない世の中になっています。今回は、茅葺職人の高橋さんを講師にお呼びして、カヤ(ススキやヨシなどの植物の総称)を使って家の屋根を作っていたことを体感してもらう活動を行いました。

まるいし2

中山町豊田地区にある沼の倉りんご団地。この場所でリンゴ作りを辞めた方の畑に、たくさんのススキが生えていて、今回はその場所をお借りしました。自分でカマを使ってススキを刈り、縄で束ねて、柱にくくりつける、みんなで協力して作業すれば、自分を包んでしまうような大きなものも作れるのです。(「まるっとハウス」はイベント用に制作したので簡易的なものです。)そのことを体感すると「なんとかなるんだな」という、なんともいえない安堵感を感じました。それと同時に、1世代前の方たちは、自分の身の回りの自然を生活に生かすことを「あたりまえ」に感じていたし、そのスキルを持っていたんだなと、参加者の方と話し合う機会になりました。
 どの活動も得るものがたくさんあり個人的には大満足! なのですが、考えなければならないことも山ほど出てきました。それは運営面です。
ひとつは、運営費について。「マルイシ工作室」では、参加する子どもたちが自分で「やってみたい!」と思ったら気軽に参加できるような場でありたいと考えて、運営しています。なので、参加費は500円のワンコインに設定しています。ですが、こういった場をつくりあげるためには、スタッフ間で何度も打ち合わせをしたり、たくさんの手間暇がかかっています。運営側にも、人件費までいかなくても打ち合わせに使う交通費程度でも確保されれば…と考えています。「ボランティア精神」も度が過ぎると運営側が疲れ果ててしまいます。今回の活動は、中山町の補助金を活用していて、材料費や広報費など大変ありがたく活用させてもらっています。ですが、補助金の中には「運営側の人件費は対象にならない」ものもあります。補助金ばかり頼ってはいられませんし、よくわかります。そういった点をどう考え、運営しているのか、『まどあかり』に記事を掲載している諸先輩たちから学びたいです。
 もうひとつは、お手伝いしてくれる人たちとの関わりについてです。スタッフとして参加する人にとって、何を得たいのかは実はひとりひとり違っています。人と関わる楽しさなのか、働いた分のお金なのか、そういった面を整理してきちんと提示できるようにしたいと考えています。
ワークショップという活動は、多くの人に参加してもらう分、多くの人の協力がなければ成立しません。その場で活動するプレイヤーとしてだけではなく、コーディネーターの視点、マネジメントの視点など、いくつもの視点で働きかけていかないといけないんだなと改めて考えた1年でした。(了)

イシザワエリ
新しい活動をするたびに音楽聞きながら準備しています。オススメ音楽あったら教えてください。2018年3月まで、中山町でのワークショップを開催していますので、ぜひご参加ください。

マルイシ工作室(Face Book)
https://www.facebook.com/maruishi.kousakushitu/
◆イシザワエリの活動日記(ブログ)
http://ishizawasaketen.blog74.fc2.com/
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「マルイシ工作室」はじめました!

こんにちは。『まどあかり』では、いつも「天童アートロードプロジェクト」の記事を書かせてもらっていますイシザワです。今回は、ちょっと視点を変えて新しい活動のご紹介をしたいと思います。
私は中山町出身なのですが、みなさん、中山町に立ち寄ったことはありますか? 知人と話していると、「車だと一瞬で通り過ぎるから、どこかわかんない」とか、「地震が起こると震度高いよね」とか、「中山町って名前が中途半端」など、だいぶディスられます。そして、実際に住んでいる人たちも「中山町って何もないよね」と思っている人が多いのです。なぜなら、山形市や天童市など周辺市町村へのアクセスが良いため、みんなそちらに行ってしまうからです。
かくいう私も、学生時代から天童市で活動してきました。人のこと言えません。上の理由とは別にしても、自分の生まれた町で何かを始めるのはやりづらいところがあります。人間関係が複雑だったり、変わったことするとウワサが流れたりと、考えただけでイヤになってしまいます。

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中山町の素敵なところもご紹介!温水プールをリノベーションして生まれた図書館「ほんわ館」。流れるプールの形を活かした本棚が素敵ですよ。
◆写真:むらやま子そだてナビ(http://murayama-ouendan.jp/modules/webphoto/index.php/photo/22/)


しかし、これまでの「天童アートロードプロジェクト」の活動で、その地域に暮らす人にとっては、そこにしかない魅力があっても「当たり前」すぎて気に留めないのだということに気づきました。また、私がアートワークショップの活動を始めようと思ったのは、子どもたちが自分の暮らす地域でさまざまな価値観に出会える場をつくりたいという思いがあるからなのです。そのことを考えると、そろそろ自分の生まれた町で活動してもいいんじゃないかなと思えるようになりました。それと、最近はワークショップのお仕事の依頼をいただくこともあり(大変ありがたいお話しです。)、きちんと看板を立てたいなと思うようになりました。

 そうして、今年から始めたのが「マルイシ工作室(こうさくしつ)」の活動です。「中山町にとびだして、アートを使っておもいっきり遊ぼう!」をテーマに『まちあそびワークショップ@中山町』を開催しています。
具体的には、月に1度のぺースで中山町を舞台に、さまざまなものづくり活動を開催しています。8月は『絵の具であそぼう!キリハリ大作戦!』と題して、これでもか! というくらい大量の絵の具を使って、布や紙、ビニールに思いっきり色をつけて遊びました。3歳から10歳までの16名が、混ざりあう色や絵の具のなんともいえない質感を楽しんでいました。
 
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子どもたちの絵の具遊びで空間がうまっていきました。

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最後に、好きな部分を切り取ってパネルにはって1枚の絵にします。


最後に、好きな部分を切り取ってパネルにはって1枚の絵にします。
このほかにも、郷土研究会の方から中山町の舟運文化について教えていただき、フネなどを作って実際に最上川に流す『こんぴら川ながし』や、県指定文化財になっている「柏倉九左衛門家」のカヤブキ屋根を見学して、自分たちでカヤを刈ってかんたんな家をつくる『カヤカリでまるっとハウスをつくろう』を予定しています。このように、歴史を研究されている方、町でお仕事されている方など、たくさんの方に関わっていただきながら活動を企画しています。

少しだけ運営サイドの話をすると、今回の事業は中山町の「やってみっべ活動支援補助金」をいただいて運営しています。これは、昨年度の山形県の「若者チャレンジ事業」に採択していただいたことやこれまでの活動の積み重ねがあったからこそだと思っています。一緒に活動してきたアートロードプロジェクトのメンバーに感謝です。
まだまだスタートしたばかりの活動です。どう展開していくかわからないところもありますが、ゆるゆると継続して場を開いていけたらいいなと思っています。

ワークショップとは何なのか、参加者の方はそこで何を感じているのか、地域にアートを軸にした場があることの意義は何なのか、などなど、言葉にして伝えていかなければいけないことはたくさんありますが、実践しながら自分がしっくりくる言葉を探していきたいと思います。
ぜひぜひ、中山町に遊びにいらしてください。



イシザワエリ
県内でも目を引く中途半端さがある中山町。そこをマチの売りにしたらいいと思っています。例えば、地盤が緩いことを活かしてナマズお神輿を作ってお祭りをするなど、ネガティブイメージを活かす活動を妄想しています。

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6年目の未知の道草

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最近、巷では「〇〇プロジェクト」という名前がつく活動がたくさんある。なんと、私が所属している「天童アートロードプロジェクト」(以下、アートロード)の団体名にもバッチリその文字が入っている。なんだか壮大な計画を実行しているような気にもなるが、そもそも「プロジェクト」の語源は「前方にむかって投げ出す」ということらしく、「実際にやってみないとどうなるかわからないよね!」という意味合いも含まれていると考えている。


アートロードは、2012年からスタートした団体だ。若手アーティストや地域の方とともに、天童美術館での展覧会やワークショップを開催している。活動当初は、「アートと地域の新しい関係性を構築する」ことを目指して、「天童駅・天童市美術館・田麦野地区をアートでつなぐ」ことを具体的な目標に、3年間実験的に活動してみるということからスタートした。(だから「アートロード」。)

1年目は、大きなねらいはあっても、具体的にどう動いていいか分からず悶絶していた。道路に作品を設置するための手続きが大変すぎて挫折したり、美術館を飛び出してワークショップを開催したりと無我夢中でやっていた。しかし、今にして思えば、美術館の方や周囲の大人の方たちに支えられ、目指すべき大きな方向性を指示してもらっていたのだと思う。そのおかげで、3年目には天童市美術館の1階のすべての展示室で展覧会を開催し、大勢の方に来ていただくことができた。3年目の展覧会が終わったとき、私は当初目標にしていた「美術館と他の場所をつなぐ」ことができなかったことを悔やんでいた。私の中で、そのことは計画を実行できなかった「失敗」として位置付けられていた。しかし、美術館の館長さんから「大きな方向性に向かって試行錯誤する中で生まれたカタチが大切なんだ」という言葉をかけてもらい、上手くいかなかったことも認めていいんだ、もっと楽しんでいいんだと、気持ちが楽になったことを覚えている。

あーと2

また、活動5年目にあたる2016年には、これまでの活動内容や考えかたをまとめた冊子『道草のすすめ』を製作した。これまでのたくさんの活動経験をもとにして、自分たちのねらいや実際やってみた結果どんな意味があったのかを整理する機会になった。そのおかげで、自分たちの言葉でアートロードのことを語れるようになってきた気がする。活動しっぱなしではなく、ふりかえることも大事なことなのだ。

あーと3

そして、2017年の今年は6年目の活動になる。昨年、冊子をつくったことで自分の中でとても達成感があった。目指すべき大きな方向性は変わらないが、これから新たな目標をかかげるステージに入ったのかもしれない。それは参加している地域の方の反応からも感じる。地域の方が初めてアートロードに参加されるとき、作品や活動を公の場に展示したことがない方がほとんどなのだが、展覧会やワークショップを経験するうちに、自ら展示方法を考え、さらにはこんな活動してみたい、と私たちのアイディアを軽く超えるアイディアを出してくれる。

これまで、地域の方とは展覧会に出展する作品について話しあいをしてきたが、今年は活動全体の運営や内容について、絵描き、主婦、商店経営者などひとりひとり視点から疑問や新しい可能性についてざっくばらんに話し合う機会をたくさんつくろうと考えている。まさに未知の世界だ!
「メンバーをどんどん増やして、規模を大きくする!」と右肩上がりに成長する活動ではないけれど、どうなるかわからないことのスリルやワクワクを、これからもじっくり楽しみたい。

「今、ここ」で ともにあることを 確かめあう ~天童アートロードプロジェクト イシザワエリ~

ザワさん

●「てんてん展―道草のすすめ―」無事に終了!
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会場のようす

天童アートロードプロジェクト」(以下、アートロード)が企画・運営する展覧会「てんてん展―道草のすすめ―」が、11月末に天童市美術館で開催された。2週間の期間中に826名の方がたにご来場いただくことができた。(ご来場いただいたみなさま、本当にありがとうございました!)

アートロードの展覧会は、一般的な展覧会とはちょっと違う。どう違うかというと、まず、会場には、全国規模の公募展に出展している若手アーティストの大きな油絵があり、隣には尾花沢の小学生たちが地元の養蚕の文化を学んでつくった「繭ハウス」が並ぶ。ジャンルを超えた作品が同じ空間に展示されている。また、自由にものづくりができるスペース「あきばこでつくろう!ぼく・わたしの天童市」が出展され、子どもたちが目を輝かせながらもくもくと何かをつくりつづけている。そして、会期中の土日・祝日には、親子で楽しめる多種多様なものづくり活動が開催され、大勢の人びとでにぎわう。

今年は、新しい取り組みとして、出展者が作品を通して、自由に語り合う場をつくることができた。例えば「ひろしまmeeting」は、広島市出身の作者が「原爆ドーム」が誕生して100年目の節目に山形の地で「ひろしま」をとらえなおしてみようという試みだ。ともに語るゲストに、広島をテーマにした作品に出演した舞台女優や、父親が海軍に勤務していたという男性をお呼びして、空・海・陸の視点から、当時の人びとの暮らしや考えに想いをはせた。

ザワさん3
「ひろしまmeeting」のようす

このように、会場では、人や物が常に変化しつづけている。そして、年齢も、仕事もバラバラの出展者たちがさまざまな考えかたのもとに制作した「作品」が、同じ場所に並んで展示されている。これこそが、アートロードの展覧会の最大の魅力だ。そして、展覧会という場をつくることで、人と人が出あうきっかけをつくりだそうとしている。

●「つまり」って、なんだ!

先ほど書いたとおり、アートロードの展覧会は一言ではなかなか説明できない。よく、来場された方に「つまり、どういう活動なんですか?」と聞かれることがある。「つまり」のあとには、端的にまとめあげられた言葉が求められている。
しかし、端的にまとめてしまうとアートロードの魅力がなくなってしまう。異なる価値観が同時に存在していることで生まれる、ごちゃごちゃ感を大切にしたい。5年間をまとめようとして、なかなかまとまらないので、そこに大切なことがあるのだと思う。

●「成長」をのらりくらりかわして、「今、ここで」を大切に

これからも、活動を続けていけば展示内容は変わっていくだろう。でも、気をつけないといけないのは、活動を「成長」させよう意識しすぎることだ。「よりよくしよう」という思いは、現代社会を生きる私たちがいつの間にか内面化し、追い求めてしまうものだ。しかし、具体的な目的も理由もないのに「成長」を意識して無理をしては、活動そのものが負担になってしまう。そうしたら本末転倒だ。
アートロードに参加する人たちは、これまでの生きかたも、仕事も、考えかたもちがう。この活動を通して、お互いに刺激を与えあい、ときにはぶつかりあいながら、今、ここで生きていることを確かめ合っているのだと思う。顔と顔を突き合わせて、考えたり、悩んだり、笑ったりしていること自体をこれからも大切にしていきたい。 (了)

ワークショップ三昧!

ワークショプ三昧


夏の暑さがウソのようにすぎさり、最近では爽やかな秋風が吹くようになった。秋といえば各地でさまざまなイベントが開催され、きっとこの冊子を手に取っている人もワクワクしているころだろう。私が参加している「天童アートロードプロジェクト」(以下、アートロード)も、秋はもれなくバタバタしている。アートロードとは、天童市を拠点にして、年齢や立場が異なる人たちが集う場をつくることを目的に、2012年から活動を始めた地域団体だ。

今年はなんと!活動を始めてから五年目の節目の年。仕事をしながら活動すること、アートを通して地域と関わることなど、手探り状態でスタートしたが(今も手探り)、これまで出会ったメンバーや地域の方に支えてもらいながら、何とか活動を続けることができた。今年は「地域でこれから何かやってみたい」と思う人に向けて、アートロードの考えかたや失敗談なんかをまとめた冊子をつくる予定だ。多くの人にツッコミを入れてもらいながら読んでもらうことで、冊子をきっかけにした人と人の出会いをつくりたいと企んでいる。

冊子をつくるにあたって、これまでの活動のことを振り返ることが増えてきた。その中でメンバーとワークショップの話題になった。アートロードにとって、ワークショップはとても大切な活動だ。

①将棋駒を製造する工場を見学中 
2ワークショプ三昧
②高擶のお寺を会場に、地域にいる架空のモンスターを考える

例えば、初年度から行っている「ちょっとちがういつもを歩こう」シリーズでは、地域をいつもと違った視点からとらえてもらい新しい発見をしてほしい、ということをテーマにしている。それぞれのメンバーが地域との関わりから見つけたものを活動に取りこみながら、自分の専門性を活かした内容を企画する。具体的には、天童市の特産品の将棋駒の廃材をブロックにみたてて遊ぶ活動(写真①)、天童の郷土史家さんのお話しを聞きながら地域を散策したあとに架空のモンスターを考える活動(写真②)などバリエーションに富んでいる。これらを通して、地域で活動することを面白がってくれる人や、制作した作品を見に何度も展覧会に足を運んでくださる人など、多くの人にアートロードの考え方を共感してもらうことができた。

ワークショプ三昧3
③参加者は複数のブースを好きな順番で回ることができる。
ワークショプ三昧4
④賑やかで、まさにお祭り状態。

また、2014年からは、一年に一度開催する展覧会の会期中にもワークショップを行っている。ここでの活動は「お祭り屋台」シリーズと勝手に名づけている。お祭りのように、メンバーそれぞれのブースをつくり、ものづくり活動を開催する(写真③)。申し込み不要ですぐに参加できるので、活動日の美術館は親子連れでごったがえす(写真④)。その気軽さから、ふだん美術館に足を運ばない人にも展示を見てもらうきっかけになっている。

ワークショプ三昧5
⑤学童での活動。初めて会うお姉さんともすぐに仲良し。

ワークショプ三昧6
⑥福祉施設では職員さんにも一緒に参加してもらった。
     
さらに、2015年からは「出張ワークショップ」シリーズがスタート。名前の通り、学童や福祉施設に出張して活動を行っている。上記の二つは、参加者に足を運んでもらうことが前提条件となる。つまり、参加者に関心がないと活動が成立しない。そこで、そもそも美術に関心のない人にも、より気軽に活動に参加してもらうために私たちが出張するスタイルとなった。学童では、宿題が終わってから興味のある子に参加してもらう(写真⑤)。友だちが活動しているようすを見て、やってみようと思う子もいる。また、ものづくりをする不思議な大人たちが学童に入りこむことで、職員さんと利用者さんの関わりにちょっとした変化を生み出すきっかけになっている(写真⑥)。
   
 このように、五年間の中でワークショップにもたくさんのバリエーションが生まれた。今回記事を書いてみて、それぞれの活動に役割があるんだなと改めて感じた。でも、その根っこにあるのは、多くの人に地域の魅力を感じてほしい、そして、表現することの楽しさを感じてもらいたい、という二つの想いだ。
 2016年も三つのスタイルのワークショップを開催する。ぜひ、さまざまな場面でワクワクを体感してもらいたい。


平成28年度 やまがた若者チャレンジ応援事業 公開プレゼンテーション

公開プレゼン

5月15日(日)、山形テルサ(山形市)にて「平成28年度やまがた若者チャレンジ応援事業 公開プレゼンテーション」が行われました。これは山形県若者支援・男女共同参画課の主催するイベントで、若者が力を発揮できる環境づくりを進めるため、若者の主体的な取組みの実現化の機会を提供し、彼(女9らの地域づくりへの参加を促進することを目的としています。

この企画では、県内各地の若者グループが地域の課題解決や地域の元気を創出するアイディアを提案し、審査によって選ばれた団体は助成(補助)を受けることができます。高校生から30代までの若者2名以上で構成されるグループであればどんな団体でも参加可能。発表当日は全13団体が出席し、限られた時間の中で実に多彩な企画提案がなされました。

例えば、天童市で活動している若者アーティストグループ「天童アートロードプロジェクト」は、「まちあそびワークショップ:ちょっとちがういつもを歩こう」という事業を提案。ワークショップなどのアート活動を通し地域の魅力を再発見するきっかけや、人と人とがつながる場づくりを行いたいと訴えていました。

また、東北芸術工科大学の学生によって結成されたグループ「Honeycomb&B」はフリースペース「Oraiの家」を活用し地域に住む人々の交流を活発にする取り組みを提案。山形大学のフリーペーパーサークル「Y-ai!」は、地域の情報誌を作成することで、同世代の若者たちに山形の魅力を紹介する取り組みを企画するなど、今回のプレゼンには学生団体もたくさん参加しているのが印象的でした。

この他にも、「山形県青年国際交流機構」「ミサワクラス」「colorful」「山の形」「山形県旅館ホテル生活衛生同業組合青年部」「学び場プラス」「山形あづまりEXPO実行委員会」「山形バリアフリー観光ツアーセンター」「松根塾婚活実行員会」からの企画提案がありました(「ぷらっとほーむ」からも、貧困家庭の子どもを対象にした学習支援者を育てる事業を提案しました)。
こうして全13団体のプレゼンが終了。どの団体のとりくみも、優劣つけがたい非常に魅力的なものばかり。市民活動の多様性を再確認できる、非常に有意義な時間をすごすことができました。


※なお後日談として、約1ヶ月後に審査の結果が発表され、13団体すべてのとりくみに助成が行われることが決まりました。


(文責:大原克彰)

穴だらけの道を 道草しながら歩こう

■はじめに

「アートロードの活動って、なんか『穴だらけ』だね。」

メンバーが放った何気ない一言。他のメンバーたちは「そうだね~」なんて言いながらワハハと笑い合っている。

さて、みなさん。こんな状態の私たちをどう思いますか?

「オイオイ、地域で活動するんだろう? こんなんで大丈夫なの?」

そう思ったそこのアタナ!

「じゃあ、一緒に活動してみませんか?」(ニヤリ)


■まとめきれない活動

天童アートロードプロジェクト(以下、アートロード)では、立場や世代が異なる人たちが出会い、地域のさまざまな価値観にふれることができる場をつくることを目的に2012年から活動を行っている。

コアメンバーは、20代から30代の若手アーティストたち。日中はそれぞれ仕事をしているが、月に2、3回はふらふらと集まり、「太る~」とか言いながらお菓子をぱくついている、じゃなくて、遅くまで話し合いを行っている。こうして地道に計画を立て、地域の魅力をさがしだすアートワークショップを開催したり、天童市美術館で1年に一度の「展覧会」を行ったりしている。

一般的に、NPO団体や地域活動団体は「誰が」、「誰のために」、「何をするか」ということを明確にする。それは地域の方に活動を理解してもらうために大切なことだ。活動がスタートしたばかりのころ、アートロードでもそれらを考えようとしたが、これがなかなかまとまらない。大きな目的はまとまっても、具体的な目標になると、「あれもこれも大事だよね」となり、決めきれない状態のまま活動している。当初は、目標を明確にできないことへの悔しさから、話し合いのたびに泣いていた(私だけ)。だが、毎年こうなるということは、この状態には、アートロードにとって重要な考えかたが含まれていると思うしかなくなってくるのだ。


■まとめきれない活動が生まれるようす

では、どのように活動がまとめきれなくなるのか、ちょっとのぞいてみよう。

まず、「誰が」という視点で考えてみる。メンバーは若手アーティスト、商店経営者、お寺の坊守、会社員、二児の母と職種も年齢もバラバラだ。共通点としては、日々の生活の中で自分の好きなことやできることを深めたり、それらを活かして周囲の人の人に刺激を与えたりし続けているということ。私たちは、このようなメンバーをひっくるめ“たがやす人”と呼んでいる。おぉ、「だれが」についてはまとまっているようだ。

では次に、「誰のために」という視点。年に一度開催する美術館での「展覧会」については、若手アーティストが「アートに関心のない人にも見てもらいたい。でも、専門性をもった人に見てもらいたい。」とワガママを言いだす。また、他のメンバーは「今までは趣味でつくっていたけど、知人以外の人からの感想がほしい。」とか、「自分の地元の地域の歴史を紹介したい。」と、全員が違う意見を同時に述べている。聖徳太子だったら全員の意見を聞きわけてうまくまとめるのだろうけど、私たちの場合は、ひとりひとりの意見を必死に聞いてそれぞれの考えに納得してしまう。その結果、「老若男女、いろんな人に見てもらおう!」というおおざっぱなまとめかたになるのだ。

おおざっぱになるのは、きっと「何をするか」が決まってないからだ。「展覧会」では、ひとりひとりの日々の活動をありのまま来場者に見てもらいたい。しかし、お寺の日々の活動を紹介するブースと、若手アーティストが試行錯誤して描いた1枚の絵画、まったく違う道のりを経て生まれた「作品」の魅力を紹介するにはどうしたらいいのだろう。「分けて展示する?」、「いや、道のりは違っても制作者の日常の中から生まれたことに変わりない。」など、またぐちゃぐちゃと考える。その結果、作品が美しく配置された通常の展覧会からは大きく外れ、異なるジャンルの「作品」が隣り合い、子どもの落書きもアーティストの絵画も同じ扱いで展示されるという、オモチャ箱をひっくり返したような「展覧会」ができあがるのだ。



■穴だらけの道を道草しながら歩き続ける活動

 ふりかえってみると、かなり混沌とした現場だ。きっと初めて読む人は「面倒くさい団体だ。」と引いているんじゃないだろうか…。だが、そんな中でも見えてきたことがある! アートロードでは、ひとりひとりの価値観がそのまま共存できる場をつくりたいという想いを基盤にしているということだ。

私たちがなぜ、活動の目標を明確にすることを迷い続けるのか。目標を明確にすることは、見る人にとってはわかりやすいかもしれないが、個々の考えかたが見えなくなってしまうことでもある。つまり、考えかたを1つに集約してしまうこと、自分と異なる考えかたを排除してしまうこと、自分たちの考えかたを「正しい」と押しつけてしまうことへの疑問と不安があるのだ。これは、自分たちが地域の中で「マイノリティー」だからそう思うのかもしれない。(このことについては『まどあかり』2015春号をご覧ください。)
 アートロードでは、自分とは違う考えかたの人と出会い、立ち止まって考えたり、当初とは異なる方向に進んだりする。一見、無駄な時間に見えるが、そこには自分の知らない新しいものに出会えるというスリリングさ、面白さがあるのだ。それは、絵にすると「穴だらけの道を道草しながら歩いていく」ようなイメージなのだ。

「穴だらけ」だからこそ、さまざまな考えかたの人に関わってもらいながら道をつくることができる、そんな面白さをこれからももち続けていきたい。
 

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プロフィール 

イシザワエリ
身近な素材を活用して子どもから大人まで気軽に参加できるアートワークショップを企画しています。アートロードの活動に参加してから、地域の工場を見学して廃材をいただくのがクセになってきました。さぁ、何つくろう。

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「居場所」としての 天童アートロード プロジェクト ~イシザワエリ~

天童あーと

◆はじめに

今回、『まどあかり2015』の最終号ということで、冊子の趣旨にそって「若者の居場所」というテーマで「天童アートロードプロジェクト」(以下、アートロード)について考えみたい。そのきっかけは、何年か前にメンバーの一人が「この活動が『居場所』みたいだ。」と言った言葉が耳に残っていたからだ。そもそも「居場所」にはどんな意味があるのだろう。手元にある辞書をひいてみると「いどころ」と書いてあるが、それだけではどうもしっくりこない。

アートロードを「居場所」としてとらえるとどんな意味があるのか、一個人の意見ではあるが考えてみたい。


◆「天童アートロードプロジェクト」活動紹介

私たちが活動する「天童アートロードプロジェクト」は、天童市田麦野地区で活動してきた東北芸術工科大学の卒業生が中心となって、アートと地域の新しい関係性をつくりだすことを目的に2012年からスタートした。

主に活動を運営しているコアメンバーは、そのほとんどが美術大学(以下、美大)の出身者で、ふだんは仕事をしながら各自の制作活動を行っている若手アーティストだ。また、活動の趣旨に共感してくれた地域の方とともに、地域の魅力をさがしだすワークショップや、1年に一度の展覧会を行っている。


◆美大の卒業生の「居場所」のなさ

メンバーの多くが美大の出身であるが、彼らは周囲からあまり理解されないというモヤモヤを抱えている。美大にいるときは同じ志をもつ人が集まっているが卒業後はみんなバラバラになってしまう。また、社会人になっても制作を続けているだけで周囲から「ちょっと変わった人」という枠にあてはめられてしまう。つまり、制作活動を行っている人は基本的にはマイノリティーなのだ。都会であれば、同じ志をもつ人に出会う可能性は高いが、地方は相対的にその人数が少ないので、どこでそんな人に出会えるのかわからない。

このような状況の中で、美大の卒業生が制作活動を続けていくためには、個人でがんばる、もしくは自分の専門分野の団体に所属する、というような選択しか見えないのだ。


◆アートロード的「居場所」の意味

先ほどのような状況の中で、私自身はアートロードに参加して何を感じているのだろうか。

アートロードでは、ワークショップや展示に向けて長期間にわたり何度も話しあいを行う。コアメンバーが運営会議をするときは、ファミレスや公民館を利用するので常時集えるような場所、つまり「いどころ」があるとは言えない。しかし、美術を学んできた人たちが集い、自分の専門分野以外の人と話ができるのはとても貴重なことだ。一人ひとりが頑張っていることを確認し、ときには愚痴をこぼすことができるという安心感が心の支えになっている。このことから、コアメンバーは私にとって「同志」なのだと思う。

さらに、アートロードに参加してくださる地域の方との出会いもポイントだ。地元の失われた風景を描く人、お寺で子どもたちに絵本の読み聞かせをする人など、彼らは自分の好きなことを活かしながら人と人が出会う場をつくり、地域に刺激を与えている。私たちは彼らのことを「たがやす人」と呼んでいる。美大を出た人以上に創造的な生きかたを実践している彼らの姿に、コアメンバーは「アートってなに?」と根本的な部分を問いただされる。これは、美大にいては得ることができない刺激だ。

そして、忘れていけないのは天童市美術館の存在だ。アートロードは、天童市美術館に支援していただきながら活動を運営している。展覧会の会場を提供してくださるということもあるが、それ以上に館長であり学芸員でもある池田良平さんがアドバイスをしてくださるということが大きい。つまり、天童市美術館が「アドバイザー」として、活動を見守りつつも客観的に意見をなげかけてくれることが、私たちにとって活動の社会的な意味を考えていくための大きなヒントになっている。

てんどー2


◆おわりに

上記の内容から、私はアートロードに参加するメンバーとさまざまな関係性を育めることに強い魅力を感じているようだ。支えあったり、ときにはぶつかったり、自分の制作に疑問をもったり、メンバーどうしでさまざまな刺激を与えあいながら、自分自身が「ここにいる」ことを確かめることができる。また、その中で自分が少しずつ変化していけることにアートロードを「居場所」として感じる大きな理由があるのではないかと思った。  (了)
てんどー

展覧会 「てんてん展―道草の向こう―」 のご報告 イシザワエリ

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少し肌寒さを感じる11月15日、天童市美術館の1階フロアで「てんてん展―道草の向こう―」(以下「てんてん展」と略称)が開催されました。会場で最初に出迎えてくれるのは、天井からのびる長さ3メートルはある巨大な切り紙のカーテン。中に進むと、霜降りのお肉の絵画、また、天童市田麦野地区のそれぞれのご自宅で祀っている「屋敷神」を地図に配置したボードが展示されています。さらには、高擶地域のお寺の日々の活動をカルタにしてまとめた展示スペースなど、ジャンルを超えた様々な作品や活動の成果が並んでいます。そして、その間を子どもたちが楽しそうに走り抜けていきます。普段の美術館では「静かに作品を鑑賞する」、「触ってはいけない」などのルールがありますが、この展覧会は、わちゃわちゃして、笑い声が響く賑やかな空間となりました。2週間の会期中に、980名の方にお越しいただきました。

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「てんてん展」は、「天童アートロードプロジェクト」(以下「アートロード」と略称)の1年の成果発表の場です。「アートロード」は、立場や世代をこえた様々な人たちが出会える場をつくること、アートの視点を通して地域の魅力を再発見する機会をつくることを目的に2012年から活動しています。

イシザワさん5


先ほど紹介した切り紙のカーテンは、天童市内の放課後等デイサービス(*1)「Harmony」(*2)に通う男の子の遊びからはじまりました。「Harmony」で造形の活動を行っている羽陽学園短期大学の講師・樋口さんがこの遊びを見て、「これを大勢でやったらどうなるだろう」と思い立ち、公民館から老人ホームまで7か所以上の場所に出向き、小学生からお年寄りまで多くの方に作っていただいたものを1つにつなげた大作です。このように展覧会では、子どもからお年寄りまで様々な年代の方に出展してもらい、ひとりひとりが主役になれるような会場づくりを目指しました。これまで美術を専門に学んだことのない人でも、自分の好きなことやできることを大切にして、常に創意工夫を重ねている方たちを「たがやす人」と呼んで、メンバーとしています。

また、10月から高擶地区、田麦野地区、長岡地区などで、ものづくりを通して地域の魅力を発見するワークショップを開催してきました。会場では活動の様子を紹介したり、こどもたちが制作した作品の展示を行ったりもしました。

イシザワさ6


1年の集大成であるこの展覧会を経て、いくつか感じたことがあります。1つは、出展者の方の心境の変化です。これまで数名のコアメンバーだけで、全体の準備などを行ってきましたが、今年は展覧会に入る前から何度も地域の方たちと話あう場をつくり、展覧会をつくりあげてきました。メンバー同士の関わり合いの中で、「美術をもっと気軽に楽しんでいいんだ」と感じ、その心境の変化をマンガで表現した方もいました。また、これまで見る側として関わってくださっていた方が、作品を出展してくださるようになり、さらに友人にも声をかけ、団体で出展してくださいました。「てんてん展」を「チャレンジの場」ととらえ、ひとりひとりが「会場を使いこなそう」という意欲であふれているのを感じました。

もう1つ感じたことは、人と人とがつながる場としての展覧会の意義についてです。「てんてん展」の会期中には、イベントとしてものづくりワークショップの活動を行います。パステルを使った絵葉書づくり、大人も楽しめるバラの折り紙づくり、天童市で生産されている将棋駒の廃材を活用したものづくりなど、様々な活動を同時に開催しました。イベント日は、多くの親子連れで美術館が賑わいました。中には、去年も参加してくれて「今年も絶対行く!」と1年越しに楽しみにしてくれていた小学生もいました。会場では、活動に関心を持ってくださる方、出展者の知人同士など、来場された方たちで自然と会話が生まれ、新しいつながりが生まれていました。普段の生活では出会うことのない人たちが出会い、交流がうまれるのも「アートロード」の展覧会の特徴になってきています。
こういった活動は、実生活とは直結しないように思えます。しかし、出展者の方から「活動の中での人との出会いが次の活動の活力になっている」という話をもらいました。また、出展された作品たちは、日々の生活の中で感じる疑問や興味関心から生まれています。みなさんが楽しみながら探究し続けている姿を、今回多くの方に見ていただけたと思っています。

誰かから押し付けられる「アート」ではなく、ここにいるひとりひとりの生活から「アート」は生まれている、そのことを改めて感じます。「アート」を媒介として様々な人たちが出会い、ゆるやかにつながっていく。このような場が地域の様々な場所で育まれるようにこれからも活動を続けていければと思います。

最後に、会場に足を運んでくださった皆様、どうもありがとうございました。


(*1)放課後等デイサービス
…障碍のあるこどもたちが、学校から自宅に戻るまでの間、様々な活動を行い、集団生活とひとりひとりの生活の自立を支援する場。

(*2)一般社団法人青葉の杜Harmony
…天童市久野本にある放課後等デイサービス施設。ここでは小学生から高校生までの子どもたちが利用している。

「たがやす人」たち集まれ! ――「天童アートロードプロジェクト」の活動より―― イシザワエリ

イシザワさん

こんにちは。いつも「アートワークショップの現場から」で原稿を書かせてもらっています、イシザワと申します。今回は、個人の活動から少し離れて、自分が参加している「天童アートロードプロジェクト」のご紹介をしたいと思います。

天童アートロードプロジェクト」(以下、「アートロード」と略記)では、立場や世代をこえたさまざまな人たちが出会える場をつくること、アートの視点を通して地域の魅力を再発見すること、アートを身近なものに感じてもらうこと、などを目的に活動しています。


■活動の経緯

そもそものはじまりは、東北芸術工科大学の学生有志の活動「みつけたむぎの」です。

「みつけたむぎの」は、天童市田麦野地区を拠点に、アートやデザインの活動を通して、地域の方たちと交流することを目的に、展覧会やキャンドルナイトなどのイベントを行っています。これまで、地域の方が学生の作品を見て「田麦野にこんな風景があったのか」と地域の風景に改めて目を向けてくださったり、逆に学生は地域の方たちから、お漬物のつけかたや畑仕事など自然と共に生きるための知恵や考え方を教えてもらったり、ということがありました。2007年からスタートしたこの活動は、学生と地域の方とが出会い、関わりあうなかで人と人とのゆるやかな関係性を育んできました。

このような活動を天童市内で行うことができないか、また、天童駅から田麦野地域まで、さまざまな拠点をアートの作品でつなぐことができないか、という二つの構想から「アートロード」は誕生しました。
「アートロード」が生まれたことで、田麦野で活動した卒業生はともに活動したメンバーや地域の方とつながることができます。美術や創造的な活動に関心のある人たちが、語りあえる場があること、そして発表の機会をもてることは、個人で制作し、発表することが多い美大の卒業生たちにとって、ありがたいことです。


■メンバーについて

当初のメンバーは、田麦野で活動していた卒業生が中心だったのですが、天童市美術館での展覧会を開催するなかで、地域で魅力的な生きかたをしている人たちに出あうことができました。例えば、三つの商店を経営されている70代のある方は、地元の変わりゆく風景を子どもたちに伝えたいと考え100点の風景画を描かれていたり、とあるお寺の坊(ぼう)守(もり)(お寺の住職の奥様)さんは、お寺に人が集う機会をつくろうと絵本の読み聞かせや、仏具を磨きながら地域の人たちがお話できる「おみがきの会」を開催したり、さまざまな活動をされています。みなさんに共通しているのは、日々の暮らしの中で、自分の好きなことやできることを大切にして、常に何かを模索し続けていること。私たちは、こうして出会った人たちのことを「たがやす人」とよんでいます。「アートロード」では、「たがやす人」たちと語りあうところからスタートします。活動の原動力は何なのか? 仕事や子育てをしながら、自分の好きなことを続けるにはどうしたらいいのか? 「たがやす人」が語るひとつひとつのコトバから、自分の好きなことを続けること、他者や周囲の環境と関わり続けるようとすることの大変さと大切さを知ることができます。

 こうした活動を支えてくださるのは、天童市美術館の存在です。開催場所の提供や活動に対しての助言など、一歩引いた視点をもちつつ、常によりそってくださる「オトナ」の存在をとても心強く感じています。

イシザワさん2



■主な活動について

「アートロード」では、主に三つの活動を行っています。

①「天童meets しゃべっぺナウ」
メンバーの活動や考えかたを語りあう場として「しゃべっぺナウ」を開催しています。美術館の一室をお借りして、ゲストである地域の方に来ていただき、ふだん行っている活動についてお話していただきます。ゲストや参加者の方が自分の経験や感じたことを語るさいの言葉にははっとさせられることが多々あります。地域の活動のこと、そして「アートロード」のことについて語る時間を経てから、ともに展覧会をつくりあげていきます。

②地域の新しい風景をさがしだすアートワークショップ「ちょっとちがういつもを歩こう」
アートの視点を通してふだん見慣れた風景をちがった視点からとらえてみようと、ものづくりワークショップを行っています。昨年2014年度に行った活動では、地域の歴史家の方に高擶地域の歴史を伺ってその場所にすんでいそうな空想の生きものを粘土でつくったり、天童市山口地区で地域の風景をスケッチしたり、地域の方とともにワークショップを開催しました。アートに親しみのない方にも気軽に参加してもらいたいと考えています。

③「たがやす人」による1年に1度の展覧会
一年間の活動の集大成として、天童市美術館で展覧会を開催します。絵画作品や、ワークショップで制作した作品、「たがやす人」たちが日々の生活で感じたドキドキやワクワクから生まれたモノや活動、さまざまな「作品」が展示されます。2014年度の展覧会場内ではこどもたちが気軽に参加できる「ものづくり」の活動も開催していて、美術館内に子どもたちの声が響き、会場内が常に変化し、ひとつのお祭りのようになっていました。来場者の方に「たがやす人」の十人十色の生きかたをみていただきたい、年齢や立場をこえてさまざまな人が出会える場にしたい、そんな想いで展覧会を企画しました。

このように「アートロード」は、2012年から活動を行ってきました。地域で生きるひとりひとりの生きかたを大切にしながら、人と人をゆるやかにつないでいけるような団体になれるように、毎年工夫していきたいと思います。


■最後に告知★

今年度も天童市美術館で展覧会を開催します。期間は2015年11月15日(日)~29日(日)です。地域で活動する「たがやす人」に会いに来てください。

「若者活動ゼミナール@村山」パネルトークの記録 (2015/02/28)

パネルトーク村山①

[パネリスト] 

●イシザワエリさん「天童アートロードプロジェクト」(天童市)
 → まちなかで、アートで地域と人の魅力を掘りおこす活動をしています。

●今野透さん「ほんきこ。編集部」(川西町)
 → 地域のあちこちで、読書会やミニコミづくりなどの活動をしています。

●成瀬正憲さん「日知舎」(鶴岡市)
 → 地域の伝統文化を伝承するコミュニティビジネスに取り組んでいます。

●福田真さん「カフェフクダエン」(新庄市) 
 → 商店街でカメラマンとカフェ店主とお茶屋の3枚看板で活動してます。

[パネルトーク] 

――今日は、県内の各地域でさまざまな活動に取り組んでおられる活動者の方がたに集まっていただきました。みなさんはどのような問題意識でその活動をなさっているのですか?

●イシザワ 「天童アートロードプロジェクト」は、アートと地域の新しい関係性づくりを目指す活動で、東北芸術工科大学OB/OGの若手アーティストが天童のあちこちでアートを用いた場づくり――地域の人たちと協働でのアート・ワークショップやアーティスト・トーク、展覧会など――をさまざまなかたちで行っています。活動のなかから、いつもはなかなか気づけないような地域の魅力を見つめ直したり、年齢や立場をこえた関係性がうまれたり、といった動きがうまれています。これこそが、さまざまな領域をこえて人や資源をゆるくつなげるアートの力だと感じています。

●今野 「ほんきこ。編集部」は、本好きの若者たちが集まるゆるやかな居場所です。作家・井上ひさしゆかりの施設「川西町フレンドリープラザ・遅筆堂文庫」を拠点にしています。本を媒介に「おもしゃいごと(面白いこと)」を「ほんきこ(本気)」で楽しむ、というスタンスで2003年に始まりました。ミニコミ誌『ほんきこ。』を発行しながら、月1回の定例読書会、ブックイベント「Book! Book! Okitama!」などをそのつど楽しみながら実施しています。「来る者拒まず去る者追わず」のゆるやかさ、敷居の低さ、関わりの多様さが、私たちのコミュニティの特徴だと考えています。

●成瀬 「日知舎」は、羽黒地方の地域文化の継承のしくみづくりをねらいとするコミュニティビジネスです。私は岐阜県出身ですが、学生のときに山伏修行を行う機会があり、羽黒に惹かれ続けてきました。その後、紆余曲折を経て6年前に羽黒に移住。するとそこは、宿坊の経営難や伝承文化の後継者不在など、問題が山積でした。例えば、出羽三山はおいしい食材の宝庫ですが、採る人がいない。採らなければ株がやせ細り、いずれ山の文化がついえてしまう。これを回避するには、山の幸を流通させ、小商いや職にしていくしかない。ということで、マーケティングやデザインの発想をとりいれ、文化を継いでいくしくみづくりに取り組んでいるのです。

●福田 「カフェフクダエン」は、新庄のお茶屋・福田園の4代目である自分のオリジナルのプロジェクトで、「本物の抹茶をカフェスタイルで飲む」がコンセプトのショップinカフェです。その他、フォトグラファーの仕事も並行してやっていて、看板を複数かかげるスタイルで生きています。2001年にUターンし、ミニFMや音楽イベントなどに関わりながら、10年くらいかけて上記スタイルを確立させました。安定した雇用が乏しい田舎でも、自分のもつ能力や技術を生活の糧に代えて何とか生きていけるようなコミュニティのしくみや文化をつくっていく必要があると感じています。

パネルトーク村山②

――それぞれの取り組みからは、ヤマガタという地域のどういった将来が展望できますか? 言いかたをかえると、例の「地方消滅」論――地方はもう手遅れ、だから都会に資源を集中しよう!――にどう反論できますか?

●今野 「ほんきこ。編集部」メンバーは半分が移住者です。なぜか。地域に彼(女)らを受けとめる場所がない、ということなのだと思います。地域から浮いている感じの人にとっての避難所として機能しているわけですね。そういう機能は、これからますます重要になってきます。若い世代の人口は減っていくのに、それへの期待はどんどん増えていく。草刈りや雪かき、消防などですね。なので、逃げ場所がますます必要となっていく。とにかくたくさんのさまざまな避難所が確保されるべきだと考えます。逆に言うと、そういう場が保障されているところには、田舎であろうと人が集まる。

●成瀬 確かに、私が最初に山伏修行にきたころは、地域の若者といえば、宿坊などの後継者が多かったのですが、近年はUターンで戻ってくる若者が増えてきた印象はありますね。地域で生きようとしたときに、ひとつの職に両足をのせて終身雇用というスタイルはもう難しい。それに代わる方法として、小商いの複合という方法がある。先ほどの福田さんのお話然り、「日知舎」然りです。「日知」とは列島古代の知識人で、まつりごと(祭=政)に関わっていました。自治にたずさわっていたわけです。自治とは、自分たちで自分たちの場や仕事をつくりだすこと。私たちはこれまで、大きなシステムに自分たちを委ねすぎてきた。そのことへの反省として、ミクロな実践や営みを通じた自治の回復が試みられているのだと思います。

●福田 自治ということでいうと、お金ってその本質において地域振興券なのだと思います。自分や自分の生きるコミュニティにめぐってくる可能性のあるところにお金を使う。そういう意識をもつかどうかで、同じ金額を使うにしてもお金の巡りかたが変わってくる。こういうのも、コミュニティを守るひとつの戦いかただと思います。それと、やはり課題となるのは、ひとつの仕事、生業で生計を立てるという価値観だと思います。自分も以前は、副業や二足わらじはよくないと思っていましたが、若い人たちと活動を通じて知り合い、いろんなスタイルと出会ううちに、自然とそう思うようになりました。なので、何をしているかわからない人、分類不可な人って大事です。意味不明な人たちを既存のカテゴリーをあてはめるのではなく、寛容に受けとめる。そういう地域にしていけたらと思っています。

●イシザワ カテゴリーということで言うと、私たちの多くは、既存の組織や制度に枠づけられた縁でしかつながれていないところがあって、だからこそ、アートのような趣味の縁でつながることの新しさや面白さがあるのだと考えています。一方で、地域の人びとには「商品化できる水準に達していないと、とても表には出せない」という思い込みが深く根をはっています。実際には、地域のふつうの営みの中に面白いものや美しいものはたくさんある。それをわかってもらうには、実際に発信してみてそれに対する反応を受け取ることのできる場が必要です。「天童アートロード」然り、そういう互いの顔の見える場が地域にもっと増えていけばと思います。

――なるほど。活動は、自分たちの居場所づくりであると同時に、自治の取り組みでもあるわけですね。その観点で、これからの課題は何でしょうか。

●イシザワ 先ほどのカテゴリーの件ですが、それは何も地域の人たちだけの課題ではなくて、私たち活動している側の課題でもあると思います。「そういうカテゴリーで見てほしくない」と思ってはいても、代案が出せていない。まだまだ言葉が足りていません。成果の出しかたや伝えかたの工夫が必要だと感じています。そこが課題でしょうか。

●今野 「ほんきこ。編集部」の強みは、その弱さ――弱さを出せる場であること――だと考えています。弱さを出せるとは、マイナーでマニアックな趣味、こだわりを出せる、そういう弱さをわかちあえる場や関係性がそこにあるということです。肝は、聴く側のちからやかまえ、ゆるさにあると思います。そういうものを地域全体でどう担保していくかが課題ですね。

●成瀬 そういう弱さを肯定も否定もせずに居場所を与えるのが「変わり者」という語彙だと思います。それにより、あちこちの変わり者が集まり関わりあうことができる。異文化どうしのシャッフルを簡単につくれるわけです。これは、都会にはない田舎ならではの強みだと思います。

●福田 田舎のせまさや小ささの強みは、全体を見渡せる、俯瞰できるということだと思います。そうした俯瞰視点にSNSを組み合わせれば、あちこちで視界に入ってくる動きや可能性の芽を可視化させ、加速させていくということが可能になる。これこそがヤマガタの先進性だと思います。

――自分たちがどんな武器を手にしているのか、まずはきちんと自覚する必要があるようですね。またどこかで、この続きができたらと思います。(了)

アートワークショップの現場から(4)

第4回:活動を支える「人」のかかわり方

こんにちは、イシザワと申します。
私は、天童市を主な拠点として、公民館や美術館などで、子どもも大人でも気軽に参加できるものづくりの活動、アートワークショップを行っています。
アートワークショップでは、手を動かしながら思考錯誤することや、参加者同士の会話から生まれる気づきを大切にしています。
そのため、作品を完成させることよりも、制作過程そのものを大切にする活動内容となります。
そして、そこには必ず、参加者の活動をサポートする人が存在します。
このように、アートワークショップの中で、活動をサポートする人のことを「先生」ではなく「ファシリテーター」と呼んでいます。今回は、その「ファシリテーター」がどんな働きをしているのかを詳しくみていきたいと思います。

①時間・場所・道具の管理
まず、参加者に活動できる時間、場所や道具の使い方を伝えます。
活動の主な参加者である子どもたちは、興奮すると、つい周りがみえなくなってしまう時があります。
参加者にケガがないように、時々注意を促すことも、地味ですが大切な役割です。
イシザワさん(4)①
②活動に誘う
初めての方にも気軽に参加してもらうために、「何ができるのか」を短い言葉で伝えられるようにしています。
例えば、『プスプスブロック』という活動では、「○、△、□など色んな形にカットした発砲スチロールを爪楊枝でつないで、ブロックみたいに組み合わせて遊びます。」というように。
完璧に伝えられなくても、興味をもってもらえたらOKです。
イシザワさん(4)②
③安心できる空間をつくる
自分が作った物は、自分の分身のようなものですから、人に見られることを恥ずかしいと思う人もいます。
活動では、初対面の人との間でものづくりを行うことになるため、「自分を表現しても否定されない」場であることを伝えることが重要です。
「○○がステキだね」など、気づいたことを肯定的な言葉にすることで、安心感を持ってもらえるようにしています。
参加した子どもたちの中には、小さい声で「〇〇を作ってもいいですか?」と確認にくる子がいます。
「どんどんやりなよ!」と伝えると、その後もくもくと作りはじめます。
全員が同じ完成形を目指す必要がないため、参加者のやりたいことを後押しすることを大切にしています。
イシザワさん(4)③
④制作過程を共有する
手を動かす活動で、集中しているさいにはあまり会話がうまれません。
そんな時、作っている物に対して「これは何をつくっているの?」と質問します。
すると、参加している子どもたちは「これは家族を作ってて、下の部分は山なの」と、作品について語りだします。
参加者の方は、自分からはなかなか作品について語りませんが、作品にこめられたストーリーを他の参加者にも伝えることで、参加者同士の会話のきっかけを作っています。



このように、活動の現場では「ファシリテーター」は、参加者の状況に合わせて、複数の役割を同時に行いながら場を進めています。何よりも大切なのは、具体的な完成形を参加者に押し付けないことです。
ゆっくり、まったりとした時間の中で、手を動かしたり、参加者同士で会話することで、普段の生活では気づかない自分の一面に気づいたり、他の人の考え方を吸収できるような場をつくりたいと考えています。

イシザワエリの活動日記
http://ishizawasaketen.blog74.fc2.com/

若者活動ゼミナール@村山 開催します!

若者活動ゼミナール@村山


県内4地域から集まった異分野の若者活動団体による事例発表をもとに、パネルトークやディスカッションを行います。やまがたの若者活動についてみんなで考え、熱く楽しく語り合う時間です。
ご興味のある人は、ぜひお越しください!

■日時:2月28日(土) 13:00−17:10
■会場:山形県生涯学習センター 遊学館
   (〒990-0041 山形県山形市緑町1丁目2-36 )
   3F特別会議室
■入場無料
■Facebookページはこちら!
若者活動ゼミナール村山チラシ_カラー小_1

=====【事例発表団体・個人】=====
★福田 真氏(新庄市)
 お茶屋店長であり、フォトグラファー。県内各地のイベントで抹茶カフェ「カフェフクダエン」をオープン!

★日知舎(鶴岡市)
 山伏体験や山の幸のブランド化など、羽黒の地域文化継承に取り組むコミュニティビジネス!

★ 天童アートロードプロジェクト(天童市)
 天童市を拠点に、地域の魅力を再発見するきっかけや、人と人とがつながる場づくりを行う若手アーティストたちの活動ユニット!

★「ほんきこ。」編集部(置賜地方全域)
 本と人を愛するミニコミ誌制作や読書会、地域でのブックイベント開催など、言葉の表現でつながる人たちの居場所づくり!

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■申込・問合:ぷらっとほーむ 
   住所:〒990-0041山形市緑町4丁目10-3 ファートンビル3階A
   Tel&Fax:023-664-2275   E-mail:hodohodokayako@yahoo.co.jp(担当:黄木)

主催:ぷらっとほーむ 「やまがた若者活動支援事業2014」
    この事業は「一般財団法人人間塾」の助成を受けて運営しています。

アートワークショップの現場から(3)

第3回:すべての物が「素材」になる ~物と私の関係を再考する

毎日寒い日が続きますね。「まどあかり」の夏号から、アートワークショップの活動について書かせてもらっています、イシザワと申します。
突然ですが、みなさんは何か工作をしたいと思ったときに、どこで、どんなふうに素材を集めますか。
最近はホームセンターの品揃えが豊富ですし、100円均一のクオリティも高いので、様々な素材をすぐに手に入れることができます。しかし、購入する以外にも自分の身の周りを見つめ直すことで「素材」を集めることもできます。
今回は、アートワークショップにはかかせない素材にスポットを当てて、お話していきたいと思います。

①物との関わり方を増やす・捉え方を変える
まず、私がアートワークショップの内容を考えるときは、身近な物を使うようにしています。
アイディアがある程度まとまったら、使いそうな素材を用意して、実際に手を動かしながら考えていきます。
そのさいに大切なのは、物との関わり方を増やすことです。
1つの素材でどんなことができるか、徹底的に試行錯誤していきます。
例えば、布だったら、中に新聞紙を入れて口を縛ってボリュームを出してみたり、裂いて織ってみたり。
普段はしない物との関わり方を増やしていくことで、素材の可能性を広げる時間を大切にしています。
物との関わり方が面白いアートワークショップだと、子どもも大人も楽しんでくれることが多いです。
また、物の捉え方を変えることも重要です。
私たちは普段から無意識に「紙コップは飲み物を飲むときに使う」という考え方で使用しています。
しかし、アートワークショップで紙コップを使おうと思った時、切込みを入れてUFOにしてみたり、糸電話の受話器にしてみたり、2つ合わせてマラカスを作ってみたり。
あれれ?「飲み物を飲むときに使う」という正しい使い方から外れているよ、となります。
でも、これもみんなが普段から無意識にしていること。
物の使用目的が変われば、物の捉え方はいくらでも変化していくのです。
そして、普段の使い方との違いが大きければ大きいほど「この道具はこんなふうにも使えるのね!」という驚きや意外性を生み出すことになります。
まさに物の見方を変える行為です。

②捨ててしまう物・落ちている物・地域の廃材を見つめなおす
先ほどまで、物との「関わり方」と「捉え方」を変化させていく様子を見てきました。
これさえできれば、身の周りのすべての物は「素材」になります!
改めて、自分の身の周りを見てみましょう。生活で出るゴミを観察してみると、ペットボトル、色んな大きさのビン、プラスティックのキャップ、空き箱など、多種多様な物にあふれています。
それらをきれいに洗って、色や材質ごとに分けるだけでも、「素材」として活用しやすくなります。
また、視点を外に向けると私たちの暮らす山形は自然の宝庫です。
これを使わない手はありません。
散歩で行く公園や山には植物や石、海に行けば貝がらや流木など、素敵な「素材」たちに出会うことがきます。
そして、最後に自分の生活を越えて、地域の工場などをのぞいてみましょう。
工場では同じ製品を大量に作っているので、同じ形の廃材が一定量出ます。
以前、ニット工場に勤める知人から、倉庫を見せていただく機会がありました。
そこには、たくさんの毛糸が使わないものとして置かれていました。
1つの商品を作り終わってしまい使わなくなったり、量が少なくて機械にセットできなかったりする物があるらしいのです。
こういった素材をいただいたり、購入したりして、その素材から内容を考えたアートワークショップもたくさんあります。
活動のさいには、素材を紹介しながら、地元の産業についてお話したり、なぜこの素材が廃材になるのかを参加者の方に説明します。
活動を通して、参加者に地場産業について知ってもらう機会にしていければと思っています。
イシザワさん(3)①
③すべての物が「素材」になる
これまで見てきたように、「これ、何かに使えるかも」というワクワク感を持っていれば、「素材」はいろんな表情を見せてくれます。
それを読み取っていく事も、アートワークショップをしていてとても楽しいことです。
ただし、こうしていると日々、物は増えます! 
整理整頓と自分が確保できる量を意識することは、物と付き合う中で大切なポイントです。  (了)

アートワークショップの現場から(2)

第2回:こだわりの「場所」づくり 

こんにちは。
前回の夏号に引き続き、今回も記事を書かせてもらっています、イシザワと申します。
今回は、活動を行う「場所」づくりについて焦点を当ててご紹介していきたいと思います。
これまで私は、公民館のロビーや野外で不特定多数の人を相手にアートワークショップを行ってきました。
そのため、アートに興味のない人に興味を持ってもらい、足をとめてもらうためには、「場所」づくりにたくさんの工夫が必要だということに気づきました。
特に公民館などの公共の施設では「誰もが使いやすいように」という考えが前提にあるため、机やイスなどが無機質な物でまとめられていたり、部屋の使われ方が決まっていたりします。
使いやすさという点では問題はないのですが、ついつい足をとめてしまうような魅力的な「場所」をつくるためには、「誰か」のこだわりが必要であることを改めて感じます。
それでは、つい足をとめてしまうような「場所」をつくるためにはどうしたらいいのでしょうか。私の場合は4つの点に気をつけています。

①何を伝えたいかを整理する 
まずは、「誰に」、「どんなことをするのか」、「何を伝えたいのか」を整理します。
ゆっくりお話できるようにしたい時には個室のような空間がいいかもしれないですし、子どもたちと体を動かしたいという時は、広い「場所」や野外のスペースを考えます。活動内容を整理することで、どこに、何を配置するのかを考えやすくなります。

②きっかけをたくさん用意する
次に、足をとめてもらえるような、きっかけをたくさん用意します。
例えば、遠くからでも活動していることがわかるように大きな看板――板、布、段ボール何でもアリ!――を用意して活動タイトルや内容を書きます。
また、実際につくる作品のサンプルや素材を用意したりします。
普段とは違う「場所」であることが分かるように、「場所」の雰囲気を変える工夫もします。
私の場合は、古いお酒のケースを棚にしたり、家にあった古い長椅子を持ってきたりします。
古い道具を使うことは、地域にあるものを活用していきたいというメッセージの役割と、年齢層の高い人との会話のきっかけとして使用しています。
このように、言葉、素材、視覚に訴える様々なものを用意することで、足をとめるきっかけをたくさん用意しています。

③さまざまな参加方法をつくる
参加者との距離感も大切です。
活動に興味を持ってくれた人には、「こんなことをしています」と短く説明をします。ここで参加を強制することは絶対にしません。
見ているだけでもよし、参加しなくてもよし、さまざまな参加方法を伝えて、参加者が活動方法を選べるようにしています。
そのためのポイントとして、入口に立った時に活動風景が見えるような配置にします。
どんな空間なのかを参加者の人に把握してもらうことで、参加するかどうかを判断してもらいやすくなります。

イシザワさん(2)

④参加者が楽しんでいる姿が見えるようにする
そして、一番の大切なことが参加者が笑ったり、楽しそうに活動していたりする姿が見えることが、他の参加者の足をとめる一番のきっかけになります。
また、アートワークショップでは参加者の人たちが作った作品を飾れるような「場所」も用意しておきます。
参加者の人たちの手によって「場所」を拡張させていくことで、いきいきとした「場所」をつくることができます。
 
今回紹介した例は、1つの事例です。
「この例は当てはまらないなぁ」という人には、自分の大好きなお店や「場所」(カフェ、本屋、居酒屋なんでもOK)をじっくり観察することをお勧めします。
どこにどんな物を置いているのかという分析をするだけで、その「場所」のこだわりが見えてきます。
他の人がつくる「場所」へのこだわりを探しながら、自分の「場所」づくりを深めていくことも、毎日を楽しく過ごす1つの方法になるのではないかと思います。

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〈プロフィール〉
イシザワエリ
中山町出身。東北芸術工科大学に在学中に、ものづくりを通して地域の居場所づくりを行うアートワークショップを始める。工場、家で余っているものをみると、何かしてやりたくなってしまう。社会人3年目の現在は、芸工大の卒業生を中心に天童市を拠点にして活動している「天童アートロードプロジェクト」に参加。また、あちこちでワークショップを実践している。これからのワークショップ・展覧会の予定はFBをご覧ください。(「天童アートロードプロジェクト」、「イシザワエリ」で検索。)

【ワークショップ】
「ショウギ粘土でつくろう ――オリジナル将棋駒をつくろう――」
日時:2014年11月2日(日) 
将棋駒をつくるために出てしまう木くずを粘土にして、自由な形のオリジナル将棋駒を作ってみよう。 (*申込みが必要ですのでFBをご覧ください)

【展覧会】
「てんてん展 ――えがく・ほる・つむぐ 日々をたがやす人たち――」
会期:2014年11月16日(日)~11月30日(日) 9:30~18:00
場所:天童市美術館 (*月曜日は休館 *最終日は15:00まで)
天童を拠点に活動する若手アーティスト、自分のできることを活かして地域で活動されている方々の表現を一同に集めた展覧会。絵画、地域の歴史と風景を描いた「乱川百景」、さらにものづくり活動を行うこともできます。ぜひ、会場に遊びにきてください。

アートワークショップの現場から(1) 

第1回:「居場所」のつくりかた。 

「好きな糸を、好きなだなけ、松ぼっくりに巻いてみよう!」 テーブルにはカラフルなニットの糸、ソバ打ちの器にはいった大量の松ぼっくり。
はじめて参加した方はちょっと戸惑いながら糸を巻き続けますが、巻き続けるうちに不思議なかわいいオブジェが完成します。
「巻きすぎた~」、「でも、それかわいいよ」などワイワイと賑やかな声が広がります。

はじめまして、イシザワエリと申します。
私は、天童市の長岡公民館を主な拠点として「アートワークショップ」の活動を行っています。
「アートワークショップ」というと、聞きなれない言葉だと思いますが「身近な物を使って子どもも大人も気軽に参加できる『ものづくり』の活動」を行っています。活動を通して、地域のさまざまな世代の人が集える「居場所」をつくることを目的として活動しています。

活動を行うさいに大切にしていることは3つあります。
それは、①身近な素材を使うこと、②誰もができる手の動きをとりいれること、③開催時間を決めて出入り自由な場をつくることです。
参加者の多くは小学生や未就学児をつれたお母さんで、ほとんどが初対面同士なのですが、手を動かす中で自然と会話がはずみます。
また、「松ぼっくりって近くにたくさんあるのね。知らなかった。」という言葉をかけてもらったことがあります。
身近な物を使うことで、参加者の方に、既存の価値観を違う視点からとらえてもらうことができるのも、アートがもつ特徴の1つだと考えています。

でも、ものづくりの活動というと「うまく作れないから苦手」と思う方も多いと思いますが、私の場合は「どのように活動の場がつくられていくか」ということを大切にしています。
例えば、公民館で活動していると、他の活動に参加していたおじさんが立ち寄って小学生との会話が始まったり、小学生が余ったビニールを使ってお互いの顔に落書きをはじめたりと、準備していたこととまったく違う遊びが生まれます。
参加者同士の関わり合いの中で新しい活動が発生するので、私自身たくさんの刺激をもらいます。

現在は、天童市長岡地区で地域の方が地域の課題を解決する「地域づくり委員会」の1つ、「長岡あそび塾」のメンバーとして、月に1度のペースで活動を行っています。
最近では、これまで活動に参加してくれた方から声をかけてもらい、県内の様々な場所で活動する機会をいただいています。
そのさいには、その地域の特徴的な産業で使用される素材をワークショップに取り入れることもあります。
しかし、その地域では知らないことばかりなので、その仕事をされている方からお話を聞いたり、素材を見せてもらったりしながら活動内容を考えます。
私自身、話を聞く中でたくさんの発見がありますし、素材を扱うことで、これまでアートに関心のなかった方にも関心をもってもらうきっかけをつくれるのではないかと思っています。
現在の課題としては、仕事をしながら活動をしているため「居場所」といえるくらい定期的に活動を行えていないことがあります。

これまでの活動で生まれた作品を見ていると、ひとつとして同じものはなく、どれも違っています。
その違いに気づき、「いいね」と認め合えること、また、地域の中にある多様な価値感を感じられること、そのことを大切にしながら、これからも活動していたいと思っています。


イシザワエリの活動日記
http://ishizawasaketen.blog74.fc2.com/

いまこれ@村山 事例発表動画①天童アートロード

2013年12月14日に、山形市あこや会館で開催した
「やまがたの若者のいまとこれから@村山」での事例発表の様子を動画でお届けいたします!
トップバッターは、天童市で活動している、天童アートロードさんです!


2014年3月1、2日に開催する
「実力養成!若者活動講座」へのご参加、お待ちしております!

やまがたの若者のいまとこれから@村山 レポートその2

12月14日(土)に開催した、
やまがたの若者のいまとこれから@村山〉の第二部の様子をレポートします!
DSC00153.jpg

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〈やまがたの若者のいまとこれから@村山〉 無事終了しました!

〈若者の居場所づくり活動パワーアップ講座 
 やまがたの若者のいまとこれから@村山
12月14日(土)、山形市あこや会館にて、無事に終了しました!
DSC00140.jpg


25名の方にご参加いただき、わきあいあいと活気のある会となりました。
まずは第一部の活動事例発表の様子をお届けします*

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(山形市)やまがたの若者のいまとこれから@村山 開催します!

村山地方で活動する若者団体の事例発表をもとにした、事例検討学習会を開催します!
ぜひお越しください!
ぷち研修会@村山チラシ_青2

〈日時〉12月14日(土)14:00-17:30
〈会場〉あこや会館
    〒990-0023 山形県山形市松波2丁目8−1
*参加費無料
*定員30名 
*申込締切:12月11日(水)
 お名前、所属団体(あれば)、ご連絡先をメッセージください。電話、FAX、メールでも受け付けております。
〈申込・問合〉NPOぷらっとほーむ 
       〒990-0041山形市緑町4丁目10-3 ファートンビル3階A
       Tel&Fax:023-664-2275  
        E-mail:hodohodokayako@yahoo.co.jp(担当:黄木可也子)


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プロフィール

ぷらっとほーむ 「まどあかり」編集部

Author:ぷらっとほーむ 「まどあかり」編集部
山形市にある「NPOぷらっとほーむ」の〈若者の居場所づくり活動支援事業〉のブログです。
山形県内各地で活動している若者団体や個人のインタビュー、イベント情報や参加レポートなどを随時更新していきます。

2016年度の本事業は、〈一般財団法人 人間塾〉の助成を受けて取組んでいるものです。
〈一般財団法人 人間塾〉

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