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アートワークショップの現場から(4)

第4回:活動を支える「人」のかかわり方

こんにちは、イシザワと申します。
私は、天童市を主な拠点として、公民館や美術館などで、子どもも大人でも気軽に参加できるものづくりの活動、アートワークショップを行っています。
アートワークショップでは、手を動かしながら思考錯誤することや、参加者同士の会話から生まれる気づきを大切にしています。
そのため、作品を完成させることよりも、制作過程そのものを大切にする活動内容となります。
そして、そこには必ず、参加者の活動をサポートする人が存在します。
このように、アートワークショップの中で、活動をサポートする人のことを「先生」ではなく「ファシリテーター」と呼んでいます。今回は、その「ファシリテーター」がどんな働きをしているのかを詳しくみていきたいと思います。

①時間・場所・道具の管理
まず、参加者に活動できる時間、場所や道具の使い方を伝えます。
活動の主な参加者である子どもたちは、興奮すると、つい周りがみえなくなってしまう時があります。
参加者にケガがないように、時々注意を促すことも、地味ですが大切な役割です。
イシザワさん(4)①
②活動に誘う
初めての方にも気軽に参加してもらうために、「何ができるのか」を短い言葉で伝えられるようにしています。
例えば、『プスプスブロック』という活動では、「○、△、□など色んな形にカットした発砲スチロールを爪楊枝でつないで、ブロックみたいに組み合わせて遊びます。」というように。
完璧に伝えられなくても、興味をもってもらえたらOKです。
イシザワさん(4)②
③安心できる空間をつくる
自分が作った物は、自分の分身のようなものですから、人に見られることを恥ずかしいと思う人もいます。
活動では、初対面の人との間でものづくりを行うことになるため、「自分を表現しても否定されない」場であることを伝えることが重要です。
「○○がステキだね」など、気づいたことを肯定的な言葉にすることで、安心感を持ってもらえるようにしています。
参加した子どもたちの中には、小さい声で「〇〇を作ってもいいですか?」と確認にくる子がいます。
「どんどんやりなよ!」と伝えると、その後もくもくと作りはじめます。
全員が同じ完成形を目指す必要がないため、参加者のやりたいことを後押しすることを大切にしています。
イシザワさん(4)③
④制作過程を共有する
手を動かす活動で、集中しているさいにはあまり会話がうまれません。
そんな時、作っている物に対して「これは何をつくっているの?」と質問します。
すると、参加している子どもたちは「これは家族を作ってて、下の部分は山なの」と、作品について語りだします。
参加者の方は、自分からはなかなか作品について語りませんが、作品にこめられたストーリーを他の参加者にも伝えることで、参加者同士の会話のきっかけを作っています。



このように、活動の現場では「ファシリテーター」は、参加者の状況に合わせて、複数の役割を同時に行いながら場を進めています。何よりも大切なのは、具体的な完成形を参加者に押し付けないことです。
ゆっくり、まったりとした時間の中で、手を動かしたり、参加者同士で会話することで、普段の生活では気づかない自分の一面に気づいたり、他の人の考え方を吸収できるような場をつくりたいと考えています。

イシザワエリの活動日記
http://ishizawasaketen.blog74.fc2.com/
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アートワークショップの現場から(3)

第3回:すべての物が「素材」になる ~物と私の関係を再考する

毎日寒い日が続きますね。「まどあかり」の夏号から、アートワークショップの活動について書かせてもらっています、イシザワと申します。
突然ですが、みなさんは何か工作をしたいと思ったときに、どこで、どんなふうに素材を集めますか。
最近はホームセンターの品揃えが豊富ですし、100円均一のクオリティも高いので、様々な素材をすぐに手に入れることができます。しかし、購入する以外にも自分の身の周りを見つめ直すことで「素材」を集めることもできます。
今回は、アートワークショップにはかかせない素材にスポットを当てて、お話していきたいと思います。

①物との関わり方を増やす・捉え方を変える
まず、私がアートワークショップの内容を考えるときは、身近な物を使うようにしています。
アイディアがある程度まとまったら、使いそうな素材を用意して、実際に手を動かしながら考えていきます。
そのさいに大切なのは、物との関わり方を増やすことです。
1つの素材でどんなことができるか、徹底的に試行錯誤していきます。
例えば、布だったら、中に新聞紙を入れて口を縛ってボリュームを出してみたり、裂いて織ってみたり。
普段はしない物との関わり方を増やしていくことで、素材の可能性を広げる時間を大切にしています。
物との関わり方が面白いアートワークショップだと、子どもも大人も楽しんでくれることが多いです。
また、物の捉え方を変えることも重要です。
私たちは普段から無意識に「紙コップは飲み物を飲むときに使う」という考え方で使用しています。
しかし、アートワークショップで紙コップを使おうと思った時、切込みを入れてUFOにしてみたり、糸電話の受話器にしてみたり、2つ合わせてマラカスを作ってみたり。
あれれ?「飲み物を飲むときに使う」という正しい使い方から外れているよ、となります。
でも、これもみんなが普段から無意識にしていること。
物の使用目的が変われば、物の捉え方はいくらでも変化していくのです。
そして、普段の使い方との違いが大きければ大きいほど「この道具はこんなふうにも使えるのね!」という驚きや意外性を生み出すことになります。
まさに物の見方を変える行為です。

②捨ててしまう物・落ちている物・地域の廃材を見つめなおす
先ほどまで、物との「関わり方」と「捉え方」を変化させていく様子を見てきました。
これさえできれば、身の周りのすべての物は「素材」になります!
改めて、自分の身の周りを見てみましょう。生活で出るゴミを観察してみると、ペットボトル、色んな大きさのビン、プラスティックのキャップ、空き箱など、多種多様な物にあふれています。
それらをきれいに洗って、色や材質ごとに分けるだけでも、「素材」として活用しやすくなります。
また、視点を外に向けると私たちの暮らす山形は自然の宝庫です。
これを使わない手はありません。
散歩で行く公園や山には植物や石、海に行けば貝がらや流木など、素敵な「素材」たちに出会うことがきます。
そして、最後に自分の生活を越えて、地域の工場などをのぞいてみましょう。
工場では同じ製品を大量に作っているので、同じ形の廃材が一定量出ます。
以前、ニット工場に勤める知人から、倉庫を見せていただく機会がありました。
そこには、たくさんの毛糸が使わないものとして置かれていました。
1つの商品を作り終わってしまい使わなくなったり、量が少なくて機械にセットできなかったりする物があるらしいのです。
こういった素材をいただいたり、購入したりして、その素材から内容を考えたアートワークショップもたくさんあります。
活動のさいには、素材を紹介しながら、地元の産業についてお話したり、なぜこの素材が廃材になるのかを参加者の方に説明します。
活動を通して、参加者に地場産業について知ってもらう機会にしていければと思っています。
イシザワさん(3)①
③すべての物が「素材」になる
これまで見てきたように、「これ、何かに使えるかも」というワクワク感を持っていれば、「素材」はいろんな表情を見せてくれます。
それを読み取っていく事も、アートワークショップをしていてとても楽しいことです。
ただし、こうしていると日々、物は増えます! 
整理整頓と自分が確保できる量を意識することは、物と付き合う中で大切なポイントです。  (了)

アートワークショップの現場から(2)

第2回:こだわりの「場所」づくり 

こんにちは。
前回の夏号に引き続き、今回も記事を書かせてもらっています、イシザワと申します。
今回は、活動を行う「場所」づくりについて焦点を当ててご紹介していきたいと思います。
これまで私は、公民館のロビーや野外で不特定多数の人を相手にアートワークショップを行ってきました。
そのため、アートに興味のない人に興味を持ってもらい、足をとめてもらうためには、「場所」づくりにたくさんの工夫が必要だということに気づきました。
特に公民館などの公共の施設では「誰もが使いやすいように」という考えが前提にあるため、机やイスなどが無機質な物でまとめられていたり、部屋の使われ方が決まっていたりします。
使いやすさという点では問題はないのですが、ついつい足をとめてしまうような魅力的な「場所」をつくるためには、「誰か」のこだわりが必要であることを改めて感じます。
それでは、つい足をとめてしまうような「場所」をつくるためにはどうしたらいいのでしょうか。私の場合は4つの点に気をつけています。

①何を伝えたいかを整理する 
まずは、「誰に」、「どんなことをするのか」、「何を伝えたいのか」を整理します。
ゆっくりお話できるようにしたい時には個室のような空間がいいかもしれないですし、子どもたちと体を動かしたいという時は、広い「場所」や野外のスペースを考えます。活動内容を整理することで、どこに、何を配置するのかを考えやすくなります。

②きっかけをたくさん用意する
次に、足をとめてもらえるような、きっかけをたくさん用意します。
例えば、遠くからでも活動していることがわかるように大きな看板――板、布、段ボール何でもアリ!――を用意して活動タイトルや内容を書きます。
また、実際につくる作品のサンプルや素材を用意したりします。
普段とは違う「場所」であることが分かるように、「場所」の雰囲気を変える工夫もします。
私の場合は、古いお酒のケースを棚にしたり、家にあった古い長椅子を持ってきたりします。
古い道具を使うことは、地域にあるものを活用していきたいというメッセージの役割と、年齢層の高い人との会話のきっかけとして使用しています。
このように、言葉、素材、視覚に訴える様々なものを用意することで、足をとめるきっかけをたくさん用意しています。

③さまざまな参加方法をつくる
参加者との距離感も大切です。
活動に興味を持ってくれた人には、「こんなことをしています」と短く説明をします。ここで参加を強制することは絶対にしません。
見ているだけでもよし、参加しなくてもよし、さまざまな参加方法を伝えて、参加者が活動方法を選べるようにしています。
そのためのポイントとして、入口に立った時に活動風景が見えるような配置にします。
どんな空間なのかを参加者の人に把握してもらうことで、参加するかどうかを判断してもらいやすくなります。

イシザワさん(2)

④参加者が楽しんでいる姿が見えるようにする
そして、一番の大切なことが参加者が笑ったり、楽しそうに活動していたりする姿が見えることが、他の参加者の足をとめる一番のきっかけになります。
また、アートワークショップでは参加者の人たちが作った作品を飾れるような「場所」も用意しておきます。
参加者の人たちの手によって「場所」を拡張させていくことで、いきいきとした「場所」をつくることができます。
 
今回紹介した例は、1つの事例です。
「この例は当てはまらないなぁ」という人には、自分の大好きなお店や「場所」(カフェ、本屋、居酒屋なんでもOK)をじっくり観察することをお勧めします。
どこにどんな物を置いているのかという分析をするだけで、その「場所」のこだわりが見えてきます。
他の人がつくる「場所」へのこだわりを探しながら、自分の「場所」づくりを深めていくことも、毎日を楽しく過ごす1つの方法になるのではないかと思います。

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〈プロフィール〉
イシザワエリ
中山町出身。東北芸術工科大学に在学中に、ものづくりを通して地域の居場所づくりを行うアートワークショップを始める。工場、家で余っているものをみると、何かしてやりたくなってしまう。社会人3年目の現在は、芸工大の卒業生を中心に天童市を拠点にして活動している「天童アートロードプロジェクト」に参加。また、あちこちでワークショップを実践している。これからのワークショップ・展覧会の予定はFBをご覧ください。(「天童アートロードプロジェクト」、「イシザワエリ」で検索。)

【ワークショップ】
「ショウギ粘土でつくろう ――オリジナル将棋駒をつくろう――」
日時:2014年11月2日(日) 
将棋駒をつくるために出てしまう木くずを粘土にして、自由な形のオリジナル将棋駒を作ってみよう。 (*申込みが必要ですのでFBをご覧ください)

【展覧会】
「てんてん展 ――えがく・ほる・つむぐ 日々をたがやす人たち――」
会期:2014年11月16日(日)~11月30日(日) 9:30~18:00
場所:天童市美術館 (*月曜日は休館 *最終日は15:00まで)
天童を拠点に活動する若手アーティスト、自分のできることを活かして地域で活動されている方々の表現を一同に集めた展覧会。絵画、地域の歴史と風景を描いた「乱川百景」、さらにものづくり活動を行うこともできます。ぜひ、会場に遊びにきてください。

アートワークショップの現場から(1) 

第1回:「居場所」のつくりかた。 

「好きな糸を、好きなだなけ、松ぼっくりに巻いてみよう!」 テーブルにはカラフルなニットの糸、ソバ打ちの器にはいった大量の松ぼっくり。
はじめて参加した方はちょっと戸惑いながら糸を巻き続けますが、巻き続けるうちに不思議なかわいいオブジェが完成します。
「巻きすぎた~」、「でも、それかわいいよ」などワイワイと賑やかな声が広がります。

はじめまして、イシザワエリと申します。
私は、天童市の長岡公民館を主な拠点として「アートワークショップ」の活動を行っています。
「アートワークショップ」というと、聞きなれない言葉だと思いますが「身近な物を使って子どもも大人も気軽に参加できる『ものづくり』の活動」を行っています。活動を通して、地域のさまざまな世代の人が集える「居場所」をつくることを目的として活動しています。

活動を行うさいに大切にしていることは3つあります。
それは、①身近な素材を使うこと、②誰もができる手の動きをとりいれること、③開催時間を決めて出入り自由な場をつくることです。
参加者の多くは小学生や未就学児をつれたお母さんで、ほとんどが初対面同士なのですが、手を動かす中で自然と会話がはずみます。
また、「松ぼっくりって近くにたくさんあるのね。知らなかった。」という言葉をかけてもらったことがあります。
身近な物を使うことで、参加者の方に、既存の価値観を違う視点からとらえてもらうことができるのも、アートがもつ特徴の1つだと考えています。

でも、ものづくりの活動というと「うまく作れないから苦手」と思う方も多いと思いますが、私の場合は「どのように活動の場がつくられていくか」ということを大切にしています。
例えば、公民館で活動していると、他の活動に参加していたおじさんが立ち寄って小学生との会話が始まったり、小学生が余ったビニールを使ってお互いの顔に落書きをはじめたりと、準備していたこととまったく違う遊びが生まれます。
参加者同士の関わり合いの中で新しい活動が発生するので、私自身たくさんの刺激をもらいます。

現在は、天童市長岡地区で地域の方が地域の課題を解決する「地域づくり委員会」の1つ、「長岡あそび塾」のメンバーとして、月に1度のペースで活動を行っています。
最近では、これまで活動に参加してくれた方から声をかけてもらい、県内の様々な場所で活動する機会をいただいています。
そのさいには、その地域の特徴的な産業で使用される素材をワークショップに取り入れることもあります。
しかし、その地域では知らないことばかりなので、その仕事をされている方からお話を聞いたり、素材を見せてもらったりしながら活動内容を考えます。
私自身、話を聞く中でたくさんの発見がありますし、素材を扱うことで、これまでアートに関心のなかった方にも関心をもってもらうきっかけをつくれるのではないかと思っています。
現在の課題としては、仕事をしながら活動をしているため「居場所」といえるくらい定期的に活動を行えていないことがあります。

これまでの活動で生まれた作品を見ていると、ひとつとして同じものはなく、どれも違っています。
その違いに気づき、「いいね」と認め合えること、また、地域の中にある多様な価値感を感じられること、そのことを大切にしながら、これからも活動していたいと思っています。


イシザワエリの活動日記
http://ishizawasaketen.blog74.fc2.com/
プロフィール

ぷらっとほーむ 「まどあかり」編集部

Author:ぷらっとほーむ 「まどあかり」編集部
山形市にある「NPOぷらっとほーむ」の〈若者の居場所づくり活動支援事業〉のブログです。
山形県内各地で活動している若者団体や個人のインタビュー、イベント情報や参加レポートなどを随時更新していきます。

2016年度の本事業は、〈一般財団法人 人間塾〉の助成を受けて取組んでいるものです。
〈一般財団法人 人間塾〉

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